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ビヨーン!
突如ティーポット船に響き渡ったアラーム。
船内を探検していたバック達は引き寄せられるようにメイン広場へと戻ってきた。
「なんだよ。この音!」
バックは耳を抑えながら叫んだ。今も耳の奥がザワザワしている。
「ワームドの出現を知らせる警報だよ。ファンと連動させてみたんだけどまずかったかな?」
セイは中央部のモニターを見つめながら話す。
「もっと小さな音にできねえの?」
「調整する方法が分からないんだよね」
「なら、ファンとの接続切れよ。ファン単体ならそんなにうるさくなかったし…」
「それがね、接続切断方法もよく知らなくって…つまり、すべてが手探り状態!」
威張って言う事じゃねえ!
だが、中央部に設置されたお椀の上にちょこんと乗るファンは可愛いぬいぐるみのようで若干キュンとしてしまう。
この感情、不本意すぎる!
「そこからどけばいいだろ!」
ファンを持ち上げるもアラームはなり続けていた。
「要はワームドかを対処しないと何も解決しないって事だろう?ウフッ!」
特融のウフッ!語尾を放ちながらヴェインは当たり前の発言をする。
「右に同じく。さっさと倒しにいくわよ」
とミナは宣言した。
「ほら、二人はやる気満々だよ」
セイの言葉はバックの胸にチクりと針を刺してくる。
なんだよ。俺が悪いのかよ。
謎に自尊心が傷つく。
「分かったよ。文句言わずにやればいいんだろ!」
「すまないね」
「急に真面目になるなよ。逆に不安になる」
「じゃあ、そういう事で頼んだ!」
前言撤回。どっちにしてもイラっとくる。
「あれ?お前はこないのか?」
「結構気合入れて物語を飛んだり入ったりしたからね。さすがに疲れた!」
言い出しっぺの癖に丸投げかよ!
この緑頭!
ムカムカムカムカ!
「それを言ったら俺も同じだと思うんだけど…」
「君と最初に会った時にワームドと直撃しただろ?多分あれが影響してるんだと思う。うん…」
うわ~。なんか謎に圧を感じる
「そうかよ。それは悪かったな」
「言っとくけど責めてるわけじゃないよ」
「はいはい。要は俺たちだけで行けばいいんだろ!」
「そういうことでほらこれ!」
セイは錆びたそれを引っ張り出してきた。
「何?このいかにもボロっぽい車輪は…」
ミナは眉をひそめて言った。
「どうみても自転車だろ。ウフッ!」
ヴェインは真顔で答える。
「これをどうしろって言うんだ?」
バックはセイに問いただす。
「自転車を走らせて問題のワームド出現の世界へ向かってくれ!」
「まさかの人力!」
セイの回答にバックは思わず叫んだ。
さびだらけの自転車の取っ手は触らなくてもベタベタしていそうだ。
「じゃあ、あんた達からね」
「なんでミナが仕切るんだよ」
バックは不満を漏らす。
「私は動かしてる間にこの自転車掃除するから」
どんな理屈だよ。
というか、それって神業すぎるだろ!
出来るわけねえ~。
握りたくない感ですぎ…。
でも、本当の事、言っても激高されそうだしな。
「へえ~そうですか!」
バックはため息をつきつつ肩を落とした。
「じゃあ、どっちから乗る?」
ヴェインに問うバック。
「ここはじゃんけんが妥当だろ。ウフッ!」
「そうだな。じゃあ、じゃんけんポン」
バックとヴェインはお互いの手に集中した。
勝者はヴェインであった。