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【DBD】逃げるが勝ち

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【DBD】逃げるが勝ち

1 - 第1話 ゴーストフェイス 【🩸注意】

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2023年12月12日

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この霧の森に来てから早数日。今までキャラクターを操作していた私からしたら、自分の判断で走ったり、発電機を修理したり、ゲートを開けたり、全てが新鮮だった。

『(三人称視点じゃないのが玉に瑕ね…)』

後ろからキラーが来ているのか分からないから余計に怖いわ。でもいきなりこんな世界に連れてこられても私が上手くやっていけているのは、今までの経験で学んだ知識を覚えているからだ。

『(まぁこの世界では私は”ルーキー”って立ち位置だし、上級者みたいな行動はしないように努力しなきゃ)』

幸い私はこの考えをずっと持ちながら行動していたおかげで、仲間のサバイバーたちは私の事を『何も知らないルーキー』と見てくれている。そのため人間関係も友好だ。

『(頼れる仲間が出来たのは唯一の救いだわ)』

さて、そろそろ儀式が始まる頃ね。焚き火の灯りが届かない森の奥から、膝下まで見えない程の濃い霧が降り掛かってきた。初めてこの世界に来た時は訳が分からなかったけど、これが儀式の合図だとつい最近知った。

 今回の儀式に選ばれたメンバーは『ドワイト』、『ローリー』、『ジェイク』…そして私だ。

マップはガス・ヘヴン。持ってきた『絆』のパークで他の仲間が3人見えた。おそらく私だけ遠くからのスタートらしい。しかし目の前には未修理の発電機が。これは見過ごせない。

ガチャン…ガシャ…ガシャ…

手馴れた手つきで修理を進めて行く。私自身、機械なんて触った事も作ったこともないから正直戸惑う所があるが、この世界では頭で考えなくても手が発電機の構造を知ってるかのように動くーそもそもゲームプレイしてて知っていたーため、心配する事は無かった。

『キラー…誰かな』

発電機の修理が進んでゆく度、徐々に音が大きくなり周囲の音が分からなくなる。

『(あと三割でこの発電機は完了だな)』

そう考えていると、ローリー達のいる所から発電機の修理が一台完了する音が聞こえた。そりゃ一人で修理するより速いに決まってる。

私も速く終わらせようと修理を進めていたら、 その音をかき消すかのように聞き覚えのある『音』が聞こえた。

バサッ…ユラユラ…

背後から布のはためく音が聞こえる。それを聴いて私は今回のキラーが誰なのかすぐに察した。

未だに聞こえない心音、近くで聴こえる布同士が擦れる音。間違いない……。

『(“ゴーストフェイス”だ)』

速いところ彼の持つ能力『闇の抱擁』を解いてチェイスに持って行かないと。そう考えた私は修理していた発電機の元を離れ、近くの二窓がある場所へと移動した。

タッタッタッ!

「(あ、気づかれた…)」

ガス・ヘヴンは見通しがよく、霧が少しあっても遠くが見える程だ。だから己の身を隠しながら行動するゴーストフェイスにとって、ここはかなり不利な状況になるマップであると言える。

心音はしないが、彼の着ている服の擦れる音が聞こえる。

バサッ…ユラユラ…

それを頼りに走ったり、窓枠を越えたり、ゴーストフェイスにとって普通にチェイスをした方が速いと思わせる程の行動を私は取った。しかし彼は中々襲ってこない。

『(攻撃してこないのは、私の無防備ゲージが寸止めされてるから?なら少しこっちも本気を出そう)』

なぜここまで彼の事を熟知しているかって?私はこの世界のゲームでキラーもやっていたからだ。

「(確か彼女はルーキーだよな?なんでこんなにチェイスが上手いんだ…?)」

それから私はゴーストフェイスとチェイスをし、なんとか発電機の数が残り二台になるまで持って行けた。

『はぁ…はぁ…きっつ…』

その間負傷も負ったが、瀕死にならないだけマシだ。しかし、一人称視点でチェイスをするのはやはり慣れない。心理戦もステイン読みも、自分の五感と体力をフル活用しなきゃいけないからだ。

『誰か味方を見つけなきゃ』

生憎私にはまだ治療系パークは獲得出来ていない。そのため味方を見つけるまではずっと出血状態なため、貧血でぶっ倒れそうになる。

『(絆、持ってきておいて良かった…)』

近くに発電機を修理している味方を見つけた。あれは恐らく、ローリーとジェイクだろう。とにかく走って治療して貰わなければ。

タッタッタッ…

『ローリー、ジェイク…治療おねが──っ!』

近づいた私に気を取られた二人の後ろから、ゴーストフェイスの姿が見えた。

ドクンッ!!

その瞬間、ジェイクに無防備が添付されてしまいゴーストフェイスは彼の背中を一刺ししようと心音を消して近づいて行った。

そして、ナイフを振り下ろそうとした瞬間──

ザシュッ!!!

『あがっ…!』

「え、」

私は咄嗟にジェイクの背中を庇い、自分が身代わりとなって瀕死状態になった。

「そ、そんな…!」

「ジェイク、逃げるわよ!」

ローリーがジェイクの腕を引いてその場から立ち去った。そうだ、それでいい。

『ぅうっ…かはっ…』

「………」

しかしゴーストフェイスは私をフックに吊ろうとはせず、じっとこちらを見ていた。

『な、によ……新人が、目立って…悪い?』

「………」

視界が揺らぐ中、私はゴーストフェイスに担がれフックに吊るされてしまった。ブチブチと私の肩の筋肉を潰す音と激しい激痛に耐えられず叫んでしまう。

『あぁ”ぁぁあああああーー!!!』

「─ルーキーじゃないだろ、あんな行動」

私が叫んだと同時にゴーストフェイスがボソボソと何かを言った気がする。何を言ったんだ?聞き返したいがそんな余裕は今は無い。私は味方の救助が来るまで小さく呻くしか出来なかった。

──結果として、勝ったのは私達だった。最後は皆負傷を負いながらの脱出となったが、とにかく誰一人死なずに皆の集まるキャンプ場に戻ることが出来たのは本当に嬉しかった。

『はぁ……(次の儀式でも上手くいったらいいけど)』

私は、安堵と不安のため息をこぼした。

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