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シアン(擬人化したメスドラゴン)と仲直りしたナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)はとりあえず部屋に戻った。
「ナオト、手|繋《つな》ごう」
「え? ああ、まあ、別にいいけど」
「やったー♪」
シアンはナオトの手をギュッと握《にぎ》る。
それを見たミノリ(吸血鬼)はさりげなく彼に近づくと、彼にこう言った。
「ナオト、手出して」
「え? お、おう、分かった。はい」
「わーい♪」
ミノリ(吸血鬼)も彼の手をギュッと握る。
「ナオト、遊ぼう」
「え? あ、ああ、いいぞ」
「はぁ? あんたは引っ込んでなさいよ! ナオトはこれから……あ、あたしと遊ぶんだから!」
「いや、あの、腕を引っ張るのはやめてください。普通に捥《も》げるから!」
これはきついなー。
というか、なんでいつもこんなことになるんだ?
「ナオトは私と吸血鬼《こいつ》、どっちと遊びたいの?」
スポンと片腕が抜ける。
え? なんでそうなった?
「え? いや、別にどっちでもいいけど」
「どっちでもいい? ふざけないでよ! ちゃんとどっちか選びなさいよ!」
スポンともう片方の腕も抜ける。
あのー、アニメ版の赤いやつと同じ状態にしないでください。
普通に辛いんで。
というか、そんなこと言われても、どっちか選んだらもう片方が悲しい思いをするから選べないんだが。
「あー、えーっとだな、とりあえず腕返してくれ」
「え? あっ、た、大変! ナオト! 大丈夫?」
「バカ! それより早くア○ンアルファ持ってきなさいよ!」
「いや、あの、とりあえず手を離してくれないか? 再生しにくいから」
「う、うん、分かった」
「そ、そうだったわね。えっと、その、ごめんなさい」
二人が手を離すと、彼の両腕はすっかり元通りになった。
床や二人の体に付いていた血液もちゃんとナオトの元へと集まったため失血死する恐れはない。
「あんなこと俺以外にするなよ? 普通に失血死するから」
「ご、ごめんなさい。次からは気をつける」
「あ、あたしも気をつけるわ。だから、その……嫌いにならないで」
彼は二人の頭を優しく撫で始める。
「あんなので俺がお前らを嫌いになるわけないだろ? それにお前らをここから追い出したら世界が滅びかねないんだから、次の目的地に着くまでに感情のコントロールをできるようにしておいてくれ」
「わ、分かった。ナオトの言う通りにする」
「ふ、ふん、あたしはついムキになっちゃっただけよ。子ども扱いしないで!」
「ミーノーリー?」
「な、何よ。あっ、頭撫でるのやめようとしないで! ごめんなさい! あたしが悪かったわ! だから、お願い! やめないで!」
「分かればよろしい」
彼がミノリ(吸血鬼)の頬を人差し指でツンとつつくと、彼女は彼から目を逸《そ》らしながら頬を赤く染めた。
「ま、まったくもう。ナオトって、意外と意地悪よね」
「そうかー? これくらい普通だろ」
「まあ、そういうことにしておきましょうか。ナオト、ハグして」
「えー、どうしようかなー」
「あっ、私もハグしてほしい。ナオト、ほら、早く」
「はいはい、分かりましたよー」
彼が二人を抱き寄せると、二人はほぼ同時に彼の首筋に噛みついた。
許可した覚えはないんだけどなー。
彼はしばらくの間、二人に血を吸われていた。