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その唇は紅く染まっていてとても綺麗なものだった。
いくら触ったって、いくら話しかけたって動くことの無いあなたと
一生を共にすごしてはいけないなんてルールはない。
だから、いつまで経っても冷たいあなたを一生をかけて溢れるくらいに愛してみせるから。
まだ、俺と一緒にいてください。
欲を言えば一緒にいきたかった。綺麗な目で俺を見つめて、抱きしめてほしかった。
あのとき、守ることの出来なかった俺を大いに恨んでもいいから…
そのときの償いをあなたと一緒にしてもいいですか?
良くないことをしている自覚はあるんだ…
あなたと…一緒にいてはいけない。
分かってる。
でも、少しは…少しくらいは………いい、よな。
「……おはようございます」
毎日の週間、液体の中に入っているあなたに声をかけること。
あなたは………………あなたの唇は……
黒く染まってしまった。
あんなに美しいほどの紅い唇はどこにいったのか。
もう何年たっているのだろうか。
もう限界なんだ…十分償いをしたはず。あなたのところにいったら、どんな顔をされるのだろうか。
嫌な顔…?
怒った顔…?
それとも、目も合わせてくれないか…
こんな俺を笑って迎え入れてくれるだろうか………
そのときはあなたに 好き と
言わせてください。
俺は液体の入っているガラスを思いっきり割った。
液体と共にあなたが俺のところに流れてくる。
触れられなかったあなたに今、触れることができた。嬉しいことだ。
自然と涙がこぼれ落ちた。
これは、嬉し泣きなのか、今から死ぬことえの恐怖なのかは分からないが。
でも……
俺は……
もう覚悟を決めたんだ。
「今からあなたの元にいきます」
ボソッと宣言をすると同時に俺は、自分の身体に剣を突き刺した。
あぁ…
すごい…
俺から流れてくるものは、
昔のあなたの唇のように綺麗な紅だった…
「ゴフッッ…ゲホッ…ゴホッゴホッ…」
咳き込んだとき口から出たものは、紛れもないあなたと同じ色をしたもの。
これも時間がたてば、黒く染まってしまうのか。
と最期まで思ってしまう自分が嫌になる。
黒く染まってもいい。
あなたと繋がれたような気がする。嬉しかった。
たとえ、もう死んでしまうとしても。最期は笑顔でいたい。
俺は満点の笑顔をつくる。
意識が朦朧としてくる。
あなたの顔がボヤける。
もうじき…死ぬんだ…こんなに呆気なく死んでしまうくらいなら…
最後に…したいことをして終わろう。
俺はあなたに近づく。
「俺の最期くらいあなたを摂ってもいいですよね……」
あなたの黒くなってしまった唇にそっとキスをし、唇についたものをなめとった。
それはとても鉄の味が濃く、普通の人なら吐き気すら感じるだろうけど…
俺は違う。だってあなたを愛しているから。
俺は、あなたの黒を体内に入れたんだ。
繋がれたという優越感に浸り、徐々に俺の視界は黒く染まっていった。
その後、2人の騎士は大きなお城の中で偶然迷い込んだ人に発見された。
2人は手を繋いで亡くなっていたらしい。
心做しか、2人とも笑っていた気がする。
これは前世の話だ。今はって?
じゃあ……見せてあげようか。幸せになった俺たちの話。
to be continued☆