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「付き合わない?」
「は?」
いや冷静になれ。
こいつは有名人。立場は分かってるはずだ、
なら恋愛感情などないはず。
それならなんだ?
買い物に付き合わない、そういう意味だろう。
「…他の人でもよくない? 」
「てか買い物ぐらいマネージャーとかと、」
「意外と鈍い人なの?」
“行けばいいじゃん”と言おうとした瞬間、
口を挟んでそう答えた。
鈍い、つまり買い物ではない。
こいつ本気か?
「…お前自分のことわかって言ってる?」
「うん。」
平気でそんなこと言うこいつは冗談ではなく、本気な顔をしていた。
「…俺じゃなくても良くね?」
「だから~…紫だから誘ってるの!」
意味がわからん。
こいつになんの得がある?
カメラか?撮影なのか!?何を疑ってもここは人気がなく、見渡しても誰もいない。
「理由は。」
「…はぁ、俺ね、この活動に飽きたの。」
「はぁ…」
それと俺になんの関係がある
「だから、スキャンダル起こして、辞めようかと。」
意味がわからなかった。
なんでこんな回りくどいことをするのか。
炎上すれば私生活だって影響が出るかもしれない。
生きづらくなる、沢山悪く言われると思う。
それは俺にも影響するかともしれない。
「…無理だ」
「俺は無関係だし、やりたくねぇ。」
そう断ると、
「…紫には何も影響与えない。」
「だから、考えといて。」
そういって俺らは戻った。
「遅~ぃ!!!」
戻るとすぐに瑞がそう言った。
みんながもう歌を一回り回りきった頃だった
「紫、何歌う~?」
赫が何も問わずにいつもの調子でそう聞いた、
だが今の俺はそれどころではない。
「俺はいいわ…」
そういつも通り返したつもりだっただが
「…なんか言われた?」
と優しく問う翠がいた。
そう聞く時、桃がこちらを見ていた。
その表情からは“ごめん“と謝るような申し訳ない顔をしていた。
謝るぐらいなら言うなよ、そう言ってやりたかったが、あの時の表情、
「だからスキャンダル起こして、辞めようかと。」
桃は別の深い理由があるような気がした。
だから、深く聞けなかった。
桃が二次会にも参加していた。
俺は密かにされた手招きに応じた。
「今日はいっぱい紫ちゃんと話せて楽しいよ~!!」
呑気に翠がそういう。
「…紫~…?」
少し高い声で桃が言った。
振り向くとかなりの距離で話しかけていた。
「お前…アルコールなんか飲んでないよな ?」
「今は飲んでないよ~。」
今は。
つまり飲んだ事があるということだろうか。
まぁ仕事上だろう。
なんでもいいが、俺にくっつくのはやめて欲しい。
「…んね、紫の家行きたいな…ボソッ」
小さくそう呟いた。
「はぁ!?無理に決まってんだろ、」
「てか俺まだ許可すらしてな…」
そこで俺は我に返った。
「許可…?」
全員がこちらを向いていた。
思わず大きな声を上げていた。
周りが困惑と疑問で溢れていると
1つの着信音がなった。
「…。」
少し嫌な顔をした桃がいた。
桃がそうそうに退出した。
「ぁ、ちょっと桃さん!?お待ちください!」
瑞も慌ててついて行く。
あいつが帰るなら俺はここにいる必要はもうない。
「帰るか。」
なれ行きで赫の家に来たが、
「で?なんかあったわけ?」
いつも通り質問攻めだ。
「進展でもあった?」
「なきゃ怖るんだけど…。」
この2人が好き勝手言いやがる。
「…困るって何。」
ふと思ったんだ。進展?困る?
こいつら何を知って…、そう思って聞いた。
「ぇ?」
間抜けな声を2人揃って発した。
「覚えてないの!? 」
「桃ってお前……」
「幼馴染じゃん?」
「は?」
2人揃って嘘をつくことは無い。
増してや翠は特に。
茶化するところはあっても真面目な話だ。
「…あんまり信じたくないんだけど?」
そう言うと、翠も赫も悲しそうな顔をした。
俺がそんな顔にさせたのだろうか?
「…桃々はね、幼馴染なんだけど、ある日を境に紫ちゃんに距離をとるようになって。」
「再び耳にした時は、俳優になってた。」
そんなことを言っても俺が記憶が無いのがおかしい。だからこそ、全てが作り話と感じてしまう。
「紫ちゃん。記憶が無いのも仕方ないんだよ。」
「ぇっ?」
「交通事故で記憶喪失になったんだ。」