テラーノベル
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薔薇の能力を持つ美少女は、朝早く目を覚ました。
今日の獲物を探そう——そう思った瞬間、意識が急に遠のいた。膝から力が抜け、床に倒れ込む。その寸前、白い影が滑り込むように現れた。
白タキシードを着た美少女が、彼女を抱きとめる。お姫様抱っこの形で、軽々と持ち上げた。
「失礼するよ。子猫ちゃん……」
声は柔らかく、どこか遊び心を含んでいる。次の瞬間、背中から白いマントが広がり、窓が開くでもなく、二人は空へと舞い上がった。朝の冷たい風が頰を撫でる。薔薇の美少女は抵抗する力もなく、ただ白い布地に顔を預けたまま、意識の端で街の明かりが遠ざかっていくのを感じていた。
——目が覚めたとき、そこは高層タワーマンションの一室だった。
厚い絨毯の上に、素肌のまま横たわっている。カーテンの隙間から差し込む光が、白い肌を淡く照らしていた。見上げると、薄い金髪の謎の美少女が、静かに見下ろしていた。この世のものとは思えないほど整った顔立ち。憂いを秘めた瞳。透けて体の線がわかる薄いワンピースをまとい、まるで人形のように佇んでいる。
「貴方に能力を与えたけど、欲望に使いすぎね。罰を与えるわ……」
気だるそうに、しかしはっきりと告げられる。幼くも見えるし、大人にも見える不思議な美貌。薔薇の美少女は喉を鳴らした。
(罰……? いや……!)
心の中で否定しても、声にならない。謎の美少女は、彼女の表情を読んだように首を傾げた。
「貴方には拒否権はない」
言い終えると同時に、謎の美少女の背中から六枚の光の翼が、音もなく広がった。金色の光が部屋を満たし、薔薇の美少女の視界を白く塗りつぶす。意識が、再び沈んでいく。
——次に目を開けたとき、空気が違った。
地下の、広大な礼拝堂。高い天井に尖ったアーチ。石の床は冷たく、壁には古いステンドグラスが暗い光を落としている。どこからともなく、声が響いた。
「そこで罰を悔い改めよ」
薔薇の美少女は、何も着ていなかった。素肌のまま、石の床に膝をついている。薔薇も蔦も、今は咲いていない。ただの、無防備な白い身体だけが、広い空間に晒されていた。肩が小刻みに震える。息が白い。何が起きるのか、わからない。ただ、拒否できない重さが、胸の奥にのしかかっていた。
六枚の翼を持つ美少女は、どこにいるのか。白タキシードの美少女は、まだ近くにいるのか。自分の能力は、もう使えないのか。答えのない問いが、冷たい空気の中で輪を描く。
薔薇の美少女は、自分の腕を抱いた。
罰の内容は、まだ告げられていない。それでも、この礼拝堂の静けさが、すでに penal の始まりのように感じられた。次に聞こえる声を、彼女は怖々と待った。
続く。
猫とろ
594
恵
344
#連載小説
観察者
161
星キラリ

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コメント
1件
うわ、白タキシードの美少女にさらわれる展開、急展開でびっくりしました…!「罰」って唐突に出てくるけど、能力を与えた張本人が言い放つ感じがすごく不気味で。六枚の光の翼とか、地下の礼拝堂の描写がすごく綺麗で、ビジュアルが浮かびました。素肌で晒される薔薇美少女の無防備さが逆に生々しくて、続きが気になります。