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ー境界の揺れー 〜花子くん視点〜
俺はああいう約束事が苦手だ。
守れるかどうかわからない条件
破ったら終わり、みたいな線引き。
でも。
それを口にした炭治郎の目は、嘘をついてなかった。
(……あの子、覚悟決まりすぎでしょ)
校舎の奥。
境界の空気が、わずかに歪んだ。
花子くん「……あー、やっぱ来たか」
ヤシロが、不安そうにこっちを見る。
寧々「花子くん?」
花子くん「大丈夫。笑
“大丈夫じゃないこと”が起きただけ」
善逸「なにそれ怖い!!説明して!!」
説明する前に――
空気が、冷たくなる。
境界が、ざわついている。
哀が、ぴくっと反応した。
哀「……っ」
両手を、ぎゅっと握りしめる。
炭治郎がすぐ気づく。
炭治郎「……どうした?」
哀「……胸が……ざわざわ、する……」
――来た。
境界に溜まった“負の感情”。
怪異でも鬼でも、影響を受ける。
(よりによって、今か)
花子くん「ヤシロ、下がって」
寧々「え、で、でも……!」
花子くん「いいから」
自分の声が少し低くなる。
哀の呼吸が、乱れ始めた。
哀「……お腹……
空いて……」
その言葉に、空気が一気に張りつめる。
善逸「ひぃっ!?で、出た!?
条件のやつ!?」
炭治郎は、刀に手をかけない。
でも、立ち位置を変える。
――逃げ道を塞ぐ位置。
炭治郎「……哀」
落ち着いた声。
炭治郎「約束は…覚えてますか」
哀は、唇を噛む。
哀「…知らせる……」
震えながらも、はっきり言った。
哀「……今は……危ない……」
その瞬間。
オレは、少しだけ目を見開いた。
(……言えたじゃん)
炭治郎は、うなずく。
炭治郎「言ってくれて、ありがとうございます」
刀は、まだ抜かない。
ヤシロが、そっと前に出た。
寧々「哀……大丈夫。ひとりじゃないよ」
哀の目が、揺れる。
哀「……怖い……自分が……」
花子くん「うん」
オレは、軽く笑ってみせる。
花子くん「それ、普通だからね?笑」
花子くん「怖がれるってことはさ」
一歩、近づく。
花子くん「まだ“人側”に足突っ込んでる証拠」
境界の揺れが、少し弱まった。
炭治郎が、小さく息を吐く。
炭治郎「……禰󠄀豆子も」
一瞬だけ、言葉を選んで。
炭治郎「強かったですが、
それ以上に“迷わなかった”」
炭治郎「哀も、今――迷っています」
それは、責める言い方じゃなかった。
炭治郎「迷えるなら、止まれます」
哀の呼吸が、少しずつ整っていく。
境界の歪みが、収まった。
善逸「……い、生きてる……
俺、生きてる……」
オレは、内心で小さく笑う。
(……なるほどね)
条件付き仲間。
でも。
(こいつ、もう“選んだ”な)
哀は、ゆっくり顔を上げた。
哀「……約束……
守れた……?」
ヤシロが、にこっと笑う。
寧々「うん。ちゃんと」
炭治郎も、はっきりとうなずいた。
炭治郎「守れました」
オレは、哀の頭に軽く手を置く。
花子くん「合格だね笑」
花子くん「七不思議的にも、鬼殺隊的にも」
善逸「合格って何基準!?」
でも、その声は明るかった。
境界は、静かだ。
そして――
次はきっと。
(あいつが来る)
“壊す側”が。