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キスがしたい

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2023年11月30日

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キスがしたい

自由少女

 キスがしたい。自分には好きな子がいる。美人な方ではないし、頭が良いわけでもないけれど、自分にとっては天使のような存在なんだ。

 自分はどちらかというと陰キャでスキンシップが上手く出来ない。二年間付き合ってやっと手を繋げたぐらいだ。そんな自分にいつも腹を立てている。

“おい、もっとグイグイいけないのかよ?あの子だって待ってるんだぞ”

“だ、だって、引かれたらどうしよう…気持ち悪いって思われないかな…?や、やっぱり自分はあの子と釣り合ってないんだ…”

自分でもわかってる。本当に好きじゃないなら、あの子はとっくに別れてるはずだ。勇気が出ない自分が腹立たしい。

 ある日、寝込みを襲ってみることにした。起きているときはきっと緊張してるんだ。寝てるときなら出来るかもしれない。でも自分はあの子の頬に触れることさえ出来なかった。あの子の寝息に耳を澄ませ、吐息に触れる。温かい、ああ……愛おしい。

 夕飯に自分は魚を食べていた。魚を持ち上げたとき口がくぱぁと開いていた。自分は無意識にその魚をあの子に見立てキスをした。その時、アイデアが浮かんだ。そうだ。あの子を魚にしたら自分はあの子に触れられるかもしれない!僕はワクワクして、すぐに準備を整えた。

 彼女が寝てる間に僕は魚を締める準備をした。僕は彼女を抱き上げた。でも、キスは出来なかった。

「今まで待たせてごめんね。すぐにキスしてあげるから」

魚を締めるときは塩水に氷を入れて凍死させる。そうすると腐敗を抑えられて新鮮な状態で料理できるんだ。風呂場に溜めておいた氷水に彼女を沈め放置した。もし起きても暴れないようにちゃんと手足は縛っておいた。ああ、そうだ。もし起きたらお風呂場にいてビックリさせちゃうかもしれない。僕がそばにいてあげよう。

しばらくたつと彼女は目を開けようとして両手をあげようとしていた。きっと混乱してるんだ。僕にはわかった。だから彼女の両手を握って膝の上に手を沈めた。

「大丈夫だよ。待たせてごめんね」

気のせいだろうか。彼女は嫌がっているように見えた。そんなわけない、きっと気のせいだよ!だって僕は君のことが大好きだし、僕は君のこと全部知ってるんだ!

魚を締めたら次は身をさばいていく。僕は丁寧に彼女の服を脱がせた。僕は愛おしくなって唇にキスをした。冷たくて柔らかい。

好き…好き、大すき。大好き大好きだいすきダイスキだい好き大すきすき好き大好き愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してるあいしてるあいしてるアイシテル!!!

 僕は腕や胸元にもキスをした。柔らかい。食べちゃいたい。僕は噛んだ。柔らかい。美味しい。彼女はなにも言わなかった。食いちぎってみよう。



 ついに跡形も無くなってしまった。

“勇気を出して正解だったよ。ありがとう”

“何やってんだよお前!!!”

“え…?どうして?”

“あの子のこと好きだったんだろ!何でこんな酷いことができんだよ!”

“これは僕の愛情表現だよ。皆も大人になったらやるんじゃないの?僕は彼女と一つになったんだ!”


あなたは彼の気持ちを理解してあげられますか?

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