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「早くしろ!遅れてもいいのか。」
「ちょっと待ってよ〜」
目の前には身支度を整えた浩介君がいる。
私は浩介君と婚約してから浩介家で居候している。
最初は怖いと思っていたけど優しいところもあると知った。
(居候してから一週間かぁ……)
私はそう思いながら空を見た。
「準備できた!行こう。」
軽い足取りで浩介君の側に駆け寄った。
「涼宮さ〜ん。今日私用事あるから掃除代わっ〜て〜。」
放課後、お金持ちのお嬢様である白銀さんに掃除を頼まれた。
「ごめん。私も放課後用事あって他の人に頼んでくれないかな?」
そう言うと、白銀さんは怒って私にこう言った。
「涼宮さんって多額の借金を抱えてるんでしょ。それならもう貧乏人同然じゃない!」
うっ、言われてみればそうだ。
私は借金を抱えている貧乏人同然だ。
「分かった。じゃあ私が…」
「待った。掃除はお前がやれ!」
後ろから浩介君が現れた。
「んなっ、北條様!私はそんなことしてません。お願いはしましたけど「私も一緒に」ですよ!」
「じゃあこれは何なんだろうな。」
そう言って、浩介君がボイスレコーダーを取り出した。
[涼宮さ〜ん。今日私用事あるから掃除代わっ〜て〜。]
さっき白銀さんが言っていた言葉だ。
[涼宮さんって多額の借金を抱えてるんでしょ。それならもう貧乏人同然じゃない!]
またもさっき言っていた言葉。
「な、これでわか分ったろ。」
浩介君はそう言って私の手を引いた。
「ありがとう。」
「ア゙?俺は放課後の練習に付き添わないといけないから庇ったわけはない。」
「そうか、でもありがとう…」
聞こえてないか。
私はそう思いながらちょっとだけ、彼に寄り添った。