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橘の死は雅也たちに深い悲しみをもたらしたが、その炎は彼らの心に強烈な決意を灯した。敵を討ち、幕府を倒すという使命を胸に、彼らは再び戦場に身を投じる。だが、今回の敵はただの武士ではなく、異能「分身」を持つ嶋崎自身だった。
夜闇に包まれた本陣。嶋崎は余裕の笑みを浮かべながら椅子に腰かけていた。橘を殺したことで得た勝利感に酔いしれている。
「まったく、あの銃使いも大したものだったが、所詮は小物だな。次は雅也と加藤の首を取るとするか。」
そこに部下が駆け込んできた。
「報告いたします!雅也たちがこちらに向かっています!」
嶋崎は片眉を上げ、冷笑した。
「愚か者め、こちらの異能の恐ろしさをまだ理解していないのか。いいだろう、迎え撃ってやる。」
東海道の山間部にある要塞。雅也たちは静かに嶋崎の本陣を囲む位置に進軍していた。
加藤清政が天雷剣を鞘から抜きながら低くつぶやく。
「橘の仇…絶対に取る。」
雅也が加藤の肩に手を置き、冷静な声で言う。
「感情で突っ込むな。嶋崎は異能持ちや。冷静にいかな、やられるで。」
加藤は歯を食いしばり、短くうなずいた。
「分かっとる。でも、俺の剣はただの剣やない。天雷剣の力で奴を叩き潰す。」
橘の遺品である銃を手に持つ雅也もまた静かに決意を固めていた。
雅也たちが要塞に突入すると、嶋崎はすでに彼らを待ち構えていた。
「来たか。だが、無駄な足掻きだ。この異能『分身』の力を知るがいい。」
嶋崎が手をかざすと、彼の体から複数の分身が生まれ、雅也たちを包囲する。
加藤が叫んだ。
「これが分身か!どれが本物か分からねえ!」
嶋崎は嘲笑するように言った。
「見分けられるものなら見分けてみろ。ただし、命があればの話だがな。」
加藤は天雷剣を構え、分身に切りかかる。だが、次々と現れる分身に攻撃が空振りする。
一方、雅也は冷静に状況を分析していた。
「分身といえど、何かしら本体に繋がっとるはずや。注意深く観察せな。」
橘から受け継いだ銃を手にし、雅也はひとつひとつの分身を撃ちながら、その動きや反応を観察していた。
「…見つけた!」
雅也は敵の攻撃をかわしながら、嶋崎の本体を見極める位置に移動した。
「加藤!俺が見つけた!」
雅也の叫びに応じ、加藤は天雷剣を高く振り上げる。剣に宿る異能の力が稲妻のごとく輝き、嶋崎の本体に向かって突き進んだ。
嶋崎は驚愕しながらも、最後の分身を盾にして抵抗する。
「くそっ…なぜ分かった!」
雅也が静かに答えた。
「お前の分身は完璧じゃない。本体だけが唯一、俺たちの視線を恐れて目をそらした。それが致命的や。」
加藤の天雷剣が嶋崎の本体に突き刺さり、異能の力が消滅する。
倒れた嶋崎は、血まみれになりながらも笑みを浮かべた。
「貴様ら…強いな。だが、幕府はこんなものでは終わらん。次の刺客はもっと恐ろしいぞ…」
そう言い残し、嶋崎は息を引き取った。