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#主人公最強
かませ犬S
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#転生
歯磨き粉
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コメント
1件
やっと決着がついたね…!レクトの「さようなら」って台詞がすごく胸に刺さったよ🥺 フローラ先生への想いが詰まった一言だった。セシリアの「恋人募集中」発言には笑ったけど、あの後エステルが嫉妬してるの可愛すぎ〜😭💕 三角関係、今後の展開がますます気になる!!
レクトとフローラの決闘の話はすぐに広がり、学院長の知るところになった。
生徒と教師の決闘というのは想定していないものだったが――
……事情を知った学院長は、これを許可した。
彼は既に87歳という高齢であり、賢者の職才を持っていた。
彼の名前……賢者グランフェルといえば、この国でも知らぬ者がいないほど有名である。
「――ただ、レクト君にはメリットは無いだろう?」
修練場に立つレクトに、学院長は言葉を掛けた。
それに返事をしたのは、レクトの後ろにいたセシリアだった。
「確かに、フローラ先生の悪事は知れ渡りました。ただ、彼の――剣聖への夢を砕こうとしたのです。
それなら、相応の報いを受けるべきではないでしょうか」
「ふむ……。学院のルールではなく、か?」
セシリアが頷くと、レクトも言葉を続けた。
「俺も最初、学院のルールで決着をつければ良いと考えていました。
ただ、俺が過ごした1年……剣術ができなかった時間は、戻ってこないんです」
「剣の恨みは、剣で晴らす――と?」
学院長は、少し離れた場所に立つフローラに視線をやった。
学院という組織の中では、彼女は学院長の部下である。
そのため、思うところはやはりあるのだろう。
「勝ち目は――
……などと、聞くことはしないよ。全力で戦いなさい」
「はい!!」
フローラは愛用の剣を何度か振ってから、レクトを鋭く睨みつけた。
レクトは、入学のときに持参した剣を鞘から抜いた。
「レクトさん……。その剣で、よろしいのですか?」
「俺の剣は、こいつで止まっているんだ。だから、またここから始めるのさ。
……まぁ、全力で戦うよ。フローラ先生の強さは知っているけど――」
レクトは剣聖の職才を持っており、フローラは剣士の職才を持っている。
しかし、強さとしての差が生まれるのは、剣聖として――剣気を発現させてからの話だ。
単純に剣を振るうだけなのか、そこに強大な力を乗せていくのか。
剣に剣気を乗せることができれば、巨木などは簡単に斬り倒せてしまう。
……ただ、その剣気をレクトはまだ発現させていない。
そのため、この決闘は剣術での戦いになるのだ。
「……わたくしが、レクトさんの右足をサポートします」
そう言うと、セシリアはレクトの前で跪き、彼の右足に両手をかざした。
静かな輝きが、レクトの右足を包み込んでいく。
「局所の、身体強化の魔法……?」
「はい。前にお伝えしましたでしょう? わたくしが、レクトさんの右足をサポートします」
「でも、バランスが難しくて――本人以外には、調整が難しいんじゃなかったっけ?」
「ふふっ。わたくしは例外です。
こう見えて、かなりの実力者なんですのよ? それに――」
「うん?」
「わたくし、恋人募集中ですの」
「お、おう……?」
学院長はレクトたちとフローラの様子を確認してから、一歩前に歩み出た。
「それではこれより、決闘を執り行う。立会人は、本学院の学院長――
グランフェル・アドラムが担当する。両名、異存はないな?」
レクトはしっかりと頷き、フローラは仕方が無さそうに頷いた。
彼女からは既に、優しい教師の仮面は外され……恨みがむき出しになっている。
……決闘の場である修練場には多くの教師に加え、多くの生徒も見にきていた。
学院生活でもかなり珍しい事件……それを見逃す手はない。
「レクトッ!! がんばれーっ!!」
そんな中、エステルの声が聞こえてきた。
どこにいるかは分からない。ただ、レクトは右の拳を掲げる。
レクトとフローラの剣には、魔法が掛けられた。
この決闘は殺し合いではない。そのため、刃の切れ味を極限まで落としたのだ。
……しかし、思い切り振った剣が当たれば骨は砕ける。ただ、死ぬ可能性は下がる。
「――それでは、始めッ!!」
学院長の言葉と同時に、フローラが剣を突いてくる。
同時に、レクトの右足に力が湧いてくる。
これなら――
レクトは力強く踏み出し、フローラの剣を上に弾いた。
金属が打ち合う音が響き、一気に緊張感が増していく。
「……ちっ! 初撃を合わせるなんて、生意気な!!」
「ええ。フローラ先生の剣も、冴えていますね」
言葉を交わし、数度、打ち合わせていく。
さすがに経験を積んでいるだけあって、フローラの動きはレクトを翻弄する。
「――フローラ先生。俺、もっと先生から教わりたかったんですよ」
「決闘の最中に、ぺちゃくちゃと……!!
追い詰められてるのは、お前だぞ!?」
「そうですね。だから、一気にいきます――」
フローラの隙は見つけられなかったが、レクトは全力で踏み込んだ。
レクトの剣は強引に、フローラの剣を弾き飛ばして――返す刃で、彼女の右腕に襲い掛かっていく。
そして、骨の砕ける音は……歓声の中に掻き消されていった。
「がああッ!? 腕が――ッ!!」
「……さようなら。フローラ先生」
さらに大きな歓声が響いていく。
それに負けない大きさで、学院長の声が響き渡った。
「――それまで!! 勝負あったッ!!」
レクトは地面に倒れるフローラを一瞥する。
かつて自分が尊敬していた教師の姿は、そこにはもう無い。
生徒に負けた教師の姿だけが、そこにあった。
レクトとセシリアは、後のことを学院長に任せて、校舎に戻ることにした。
ただ、その後ろで――
「ちょっと!?
何でセシリアさん、レクトの腕に抱き着いてるの!?」
――エステルの不満が、歓声に混じって聞こえてきた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
レクトとセシリアは、学院内の応接室にやって来ていた。
今日はどこにいても目につくということで、学院長から許可を得ていたのだ。
「……あのさ、セシリア。そんなにくっついていると、誤解されちゃうぞ?」
「ふふふっ、良いじゃないですか。
わたくしとレクトさんの仲なんですから……」
そこに、エステルが勢いよく入ってきた。
「きゃーっ!? 密室で何やってるのよ! 変態!!」
「え? いや……俺は何も――
……ほら、セシリアも!!」
「もう、良いところでしたのに……。
ところでレクトさんは、エステル様とお付き合いをされていますの?」
セシリアの言葉に、レクトとエステルは慌てた。
「い、いや!? 俺とエステルはそんな関係じゃ――なぁ!?」
「そ、そうですよ!! 私とレクトは、ただの幼馴染で……!!」
「それなら、わたくしとレクトさんがお付き合いしてもよろしいのでは……?」
「お、俺は今、剣聖の道を歩んでいるところで……!」
「それを言うなら、わたくしだって聖女の道を――」
「はいはい! とりあえずこの話は中断!
はい、多数決! 中断したい人!!」
その言葉に、レクトとエステルが手を挙げた。
それを見たセシリアは、渋々とレクトから手を離す。
「――はぁ。それでは悪ふざけは止めておくことにしましょう」
「それが良いですよ! レクトが勘違いしちゃ、いけないし!!」
「まぁ……そういうことにしておきましょう。
レクトさん、決闘お疲れ様でした。エステル様も、応援ありがとうございます」
「あ……、はい。突然決闘だなんて話が聞こえてきたから、慌てて、慌てて……。
それで一体、何があったの?」
レクトはエステルに、食堂での出来事を伝えた。
その流れで、セシリアはレクトに質問をする。
「――ちなみに懺悔室での録音は、どうやったのですか?」
「あれは、錬金術の魔導具でな。
……その、知り合いの錬金術学科の先輩から借りたんだよ」
「ふむ……。館内放送で流したのも?」
「あれは食堂のスピーカーだけジャックしたんだ。同じく、そういう魔導具を借りて……」
「危ないものを借りたのね……。その先輩って、大丈夫な人なの?」
「いや、なかなかクセがある人なんだけど――
でも、実力はピカイチなんだよ」
「わたくしは面識がありませんが、多分、ディアナ様のことですよね?」
「うん。やっぱり、有名だよな……」
残念ながら、知らないのはエステルだけだった。
それにしても、魔導具を復讐という目的のために貸し出す先輩――
「……レクトは、何か求められなかったの?
ただで貸してくれたわけじゃ、ないんでしょ?」
「もちろん……。ひとつ、頼みごとをされてね」
「また、厄介なことに巻き込まれないでしょうね……?」
エステルはふと、セシリアを見ながら言ってしまった。
そんなセシリアは、レクトを真っすぐに見て言葉を続ける。
「エステル様は、わたくしが憑依されるのを気に入らないようです。
レクトさんも、そろそろレポートを出して頂けますか?」
「あぁー……。一応メモは取ってるんだけど、まとめきれてないんだよな……」
「それでしたら、何回でも憑依して頂いて構いませんわよ?」
「ダメダメ! 気軽に憑依するのはダメです!!」
セシリアの提案に、エステルが割って入ってくる。
「はぁ……。それでは、エステル様の憑依体験も聞いておいた方が良いかしら?」
「な、何でそうなるんですか!?」
「わたくしとエステル様では、憑依に対する見方がまるで違うでしょう?
……わたくしは少しばかり、難しく考え過ぎているのかもしれません。
だから普通の人は、あれをどういう風に感じるのかな……と思いまして」
セシリアが静かに、エステルに近付いていく。
エステルは何となく距離を空けようとするが、それでもなお詰め寄られ――
「ちょ、ちょっと!? レクト、助けてよ!!」
「いやぁ、エステルはセシリアに憧れていたんだろ?
いい機会じゃないか。仲良くしろよ」
「そんな、無責任な!!」
「エステル様?
わたくしとあなたの仲のことは、レクトさんには関係がないでしょう?」
「うあぁ……。私の中で、セシリアさんのイメージが変わっていく……」
そんなふたりを眺めながら、レクトは仕方の無さそうにエステルに言う。
「……はぁ。そろそろ、修練場には誰もいなくなったかな?
エステル、少し手合わせをしないか?」
「あ、そうだね……! それじゃセシリアさん、今日はこれで……」
エステルの言葉に、セシリアの目がきらりと光る。
「レクトさん、わたくしも付いていってもよろしいですか?
右足に魔法を掛けることもできますよ?」
「うぁ……。それは魅力的な提案……」
「ちょっと、レクトぉ!!?」
「ま、まぁ良いじゃないか!
エステルも、身体強化の魔法に慣れておくのは良いと思うぞ!?」
「そ、それはそうかもだけどぉ――」
応接室を出て行くレクトとエステル。
それに付いていこうとするセシリア。
完璧な聖女――そんな仮面を付けていたセシリアにとって、レクトとエステルの関係は羨ましかった。
憑依スキルに興味を持っていた彼女だったが、いつの間にか、そんなふたりにも興味が移り――
「うふふっ。これから、楽しくなりそうですわね♪」
セシリアはふたりに聞こえないように……静かに明るく、呟くのだった。