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コメント
1件
いやあ、このエピソードめちゃくちゃ面白かったです。「世界を壊すより作り変える方が手間」って、存在の根幹に関わる重い情報を、吸血鬼の王があっさり言い放つのがいいですね。和束ハルとミヤビ・ワヅカを比較する流れも自然で、読んでて「おお…!」と声が出ました。874話も続いてるのに、まだまだ新たな謎を仕込んでくるのが憎い。今後の精査、楽しみにしてます!
数日後。
吸血鬼の王は四泊五日の日本旅行を大いに楽しんだそうで、最後にまたうちに来た。
「日本のこと色々知れてよかったよ! これで暇つぶしにはしばらく困らないね!」
横の疲れてるマリアさんの顔からして、相当連れ回されたんだろうなと思っていたら、マリアさんはピシャリと言った。
「存分に日本のこの業界の事情を嗅ぎ回ってくださってありがとうございます」
あっ、やっぱこっちのことを調べに来たのね……。
『ワシのことも調べるのか?』
「調べても何も出ませんよ?」
俺も千歳も迷惑そうな顔をしていたんだろう、吸血鬼の王は「しないって」と首を横に振った。そして、俺を見た。
「イズミさんには教えておこうかな、と思ったことがあってさ」
「なんでしょう?」
「世界を壊すのに必要な力より、世界を作り変えるのに必要な力のほうが多いんだよね。作り替える方が手間だし」
「それは、そうですね」
話が見えないな。和束ハルの関係? 和束ハルよりすごいこと?
吸血鬼の王は、こう言った。
「ハル・ワヅカは世界を壊せる人だったよ。ミヤビ・ワヅカはその上を行くだろうね」
ああ、そういうこと!
「世界を作り変えたいんでしょうか、彼女は」
吸血鬼の王は片目をつぶった。
「そうじゃないかなーっとは思うんだけど、どういうふうに作り変えたいかは全然わかんないね」
「いえ、でも教えてくださってありがとうございます」
マリアさんが怒ったように言った。
「そういうことは私たちに先に言ってくださいよ!」
「吸血鬼は今一番話したい人に話したの! 君にも今伝わったんだからいいじゃない!」
え、じゃあ俺、この人に買ってもらってるってことなのか? いや、過大評価だよそれは……。
とりあえず、俺は頭を下げた。
「私たちが知らないことを教えてくださってありがとうございます。今教えていただいたことを頭に入れて、これまでのことをまた精査してみます」
吸血鬼の王はマリアさんを見た。
「ほら! こんなに感謝してくれる人に先に言いたいじゃない!」
「本当にもう……」
額を抑えるマリアさん。千歳は首を傾げた。
『世界を作り変えるかあ。今の世界じゃ都合悪いのかな、結構やりたい放題してるのに』
「今の世界に不満があるのは確かだろうね、どういう不満かは分からないけど……それこそ、和束みやびを知ってる人に片っ端から心当たりを聞いたほうがいいかも」
『そうだな。日報に書いて、あかりさんと緑さんに伝えとく』
今の世界への不満……不満がない人はいないだろうが、どういう不満かによって動きたかは異なる。掘ったら、何が出てくるやら。