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陰陽師二人を殺し、あのお婆さんを逃してしまった次の日。
あのお婆さんは二人の死体を回収した他、とくに何もせず帰っていった。
今回の戦いはかなり危なかった。もしもあの時、クロとシロが駆けつけてきてくれなかったら、僕はあのお婆さんにやられていただろう。もしかしたらあの式神たちのようになってしまっていたかもしれない。
僕の力は日に日に増しているが、まだまだ弱い。あの人たちのようになにもしていないあやかしを殺しにくる強い人もいるのだ。
みんなを守らなければ。
もっと強い力を手に入れなければ。
ー強い力を手に入れたいですか?ー
当たり前だよ霞。
ーでは、力を使い、悪を滅し、人やあやかしを助けなさい。あなたのその行いが信仰や畏怖となり、あなたの力となるのですからー
そうだね、もっと頑張らないと。
ー期待していますよ。あなたは私の土地神なのですからー
うん!
そう言って霞は、口・を・ゆ・る・め・小・さ・く・微・笑・ん・だ・。
この山には、とても感謝され、小さいがこの山に僕なら小さな祠を作ってもらった。すでに多くの貢物が供えられている。
ここにもう一度攻めてくるかもしれないので、僕の眷属を少し置かせてもらった。なにかあればすぐに知らせてくれるように。
そうして陰陽師との戦いは終わったのだった。
数日後、僕は今学校の帰り道ででオロオロしている。
今僕は、立花さんと七瀬さんと三人で帰っているのだ。
「いつになったら私と修行してくれるの!?」
立花さんがぼくにそう詰めてくる。
「え、えーと、陰陽師の修行とかあんまよくわからないというかー、なんというかー。」
クロやシロに刀術を習ったり、紫やシロから術を教えてもらったりしているが、陰陽師の修行とかは本当によくわからないのだ。
そういえば、シロはなんでも教えられるな。
「真広君がいつもやってるやつをやればいいの!」
「なんにもしてないよー」
「そんなに強くてなんにもしてないわけないじゃない!」
「そんなこと言われたってー」
「とにかく!今日!家に帰ったらすぐにこの間対決した山頂にきて!わかった?」
そういうと立花さんは走って帰っていく。
「立花さんって意外に強引だよなぁ。」
「う、うん。ちょっとね。そういえば真広君。お爺さんの残したルーズリーフ私が使ってごめんね。そんな大切なものだとは知らなくて。もう無理に渡さなくてもいいよ。」
あっ、そういう設定だった。
だがしかし!もうルーズリーフでお札は作ってないのだ。
ちゃんといい和紙をネットで買っている!
「大丈夫だよ。それにちゃんとした紙でお札作ったから。これ渡しておくね。」
そう言って、お札を渡す。
「ありがとう!私もうもらえないかと思って…」
そう言って七瀬さんは涙ぐむ。
「大丈夫だよ、七瀬さんもないと困るでしょ?」
「ありがとう!真広君!!」
まぁ、和紙の方が高いから、僕的にはルーズリーフのほうがよかったけどねぇ…
帰って準備をして言われた通りこの間の山頂に登った。
ところでなんで山頂なんだろ?登るのめっちゃ大変なんだけど。
まぁ、土地神になって身体能力もすごく上がったからそんな時間かからないんだけどさぁ。
そして、そんな僕よりも先にいる立花さんはどうやってきたのだろう。
もう一つ気になることが一つ。なんかお爺さんがいるのだけど。
「あっ!真広君!よかった来てくれたんだ!」
「うん。結構早く着いたと思ったんだけど、立花さん山登るのすごい早いね。」
「え?式神に乗ってきたよ?もしかして歩いて登って来たの?」
おいおい、そんなのありかよ。
「次からは僕もそうする。で、こちらの方は?」
「あっ、この人は私のお爺様!」
「初めまして、真広君。わしは立花 秀一。君のお爺さんとも友達じゃったんじゃぞ?」
「はじめまして!僕のお爺ちゃんと?」
「そうじゃよ?君のお爺さんからは君に力はないと言っておったのじゃが、重蔵のやつ隠していたんじゃなぁ。」
「あはははー」
「まぁ、よい。では修行を始めるか。」
陰陽師の修行というとこの間のあやかしを無差別に殺し回っていたあいつらのことを思い出す。
もしもそんな修行をするようなら、全力でとめよう。
「まずは、腕立て伏せじゃな。」
「はい!」「え?」
そのあともずっと筋トレが続いた。
「なんか思ってたトレーニングとは違う!」
「この後、術の練習もするよ?」
「ほっほ、体を鍛えることも大切じゃぞ?最後の最後に頼りになるのは己の肉体じゃ。それにしても真広君は全然へたばらんのぉ。普段から鍛えてあるのじゃなぁ。えらいえらい。」
筋トレとかしてないけど…
でも、まぁ、すこし安心した。
その後、術の練習をして、
「では、組手といこうかの。琴巴よ木刀は持って来たかな?」
「はい!持ってきました。」「組手?聞いてないけど。」
「やはり、実際に戦うことも大切なのじゃ。中にはあやかしを無差別に滅して修行している輩もおるが、そ奴等は人ではない。ただのクズだ。真広君もそんなことをしてはいけないぞ?」
あぁ、立花さんのおじいさんは本当にいい陰陽師だなぁ。
「はい!」
組手では、こないだとは打って変わって立花さんは、金魚ちゃんの攻撃を避けながら札を飛ばして攻撃してきた。
そして式神を召喚した。
「出てきて、鈴、天!」
そういうと、大きな虎の式神と、大きな白い鷹の式神を出した。
「それが立花さんの式神なんだね。強そうだ。」
「うん。虎の鈴と鷹の天。わたしの大切な仲間なの。」
そういうと鈴の上に乗り、こちらに肉薄してきた。
もちろんこちらも迎え撃つ。
「出てこい土男!」
土男を出して足止めを試みるが、
「押し通る!!」
そういうと虎が土男に突っ込み土男の上半身を吹き飛ばしこちらに向かってきた。
「まじか!」
僕は急いで後ろに下がる。もちろん金魚ちゃんたちは攻撃の手は緩めないが、全て避けられるか、硬く張ったであろう立花さんの結界に阻まれる。
「とった!!」
僕にもう少しで届きそうなところで立花さんが叫んだ。
「残念でした。土男!」
立花さんの後ろに土男が現れ、立花さんに抱きつく。
僕はわざと土男の札を落として逃げていたのだ。
「くっ!どこから!?」
「そこまで!真広君の勝ちだ!」
「やっぱり真広君には勝てなかったわ…」
「でも、今回はぼくも危なかったよ。」
試合後、僕たちはベンチで水を飲みながら会話をして
いる。
「それにしても真広君。すごい数の式神を従えて、同時に出せるなんてすごいのぉ!やはり重蔵の孫というわけか。」
「あははー。」
「ん?だれかきたのぉ。」
「久しぶりじゃな、秀一。」
そう言って来たのは、この間あの山であやかし狩りをしていたお婆さんだった。