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皐月side
梶とは別れて帰路に着く。
設楽さんが借りてくれたアパートの近くの公園で梅宮の帰りを待つ。
少し傷んだブランコに腰掛けてボーッと周りを見る。
この公園…、随分愛されてんだな…、遊具が傷んだ物ばっかだ…。
施設もそんな遠くないし設楽さんのとこの子供たちもここに来て遊んでるのかな…、一度は皆と遊んでみたい…かも。
数十分待ってもまだ梅宮の姿が見えない…、喉が渇いた俺は近くにあった自販機で水を買おうとしたら
どこからか鳴き声が聞こえる…。
か細い声だがきっと猫が近くに居る…。
自販機周りを探しても居らず、近くの草むらを探したら居た…。
皐月『…、大丈夫か?辛かったよな…、ほらこっちおいで…。』
俺が見つけた猫は怪我して身動きが取れない猫だった。
明らかに誰かに傷付けられた猫だ…。
見つけた以上見逃せない。
俺が手を出すと不安なんだろう、また傷つく事が…、威嚇して鋭い爪で攻撃してくる…。
皐月『……分かるよ、お前の気持ち…、優しさなんて、わかんねぇよな…、酷くされたのに急に優しくしてくる別の人間なんて…、信じたくないよなぁ…、でもな、信じていいかもって思う奴も居るんだ…。俺もお前も一緒なのかもな…。』
独り言のように言った言葉だったが猫はスっと俺の手に寄ってきて[引っ掻いてごめん。]と言わんばかりに傷口を舐め始めた。
皐月『ははっ!擽ったいなぁ!』
梅宮「皐月〜!どこだ〜!?」
野良猫は梅宮の大声に驚いてまた奥へ隠れてしまった……。
皐月『俺ならここだ、大声出すんじゃねェよ…。』
梅宮「お!そこに居たのか!もう暗いし帰ろう!」
皐月『…やだ。』
梅宮「え”ッ!お、俺なんかしたか!?俺皐月が出てった事に怒ってないぞ!?」
皐月『違う、静かにしろ、今先客がいんだ。』
梅宮「??先客?」
俺は梅宮から視線を外して未だ隠れたままの猫に話し掛ける。
皐月『ごめんなぁ、ビックリしたよな…。でもコイツも悪い奴じゃないんだ、声は大きいけど優しい奴なんだ…、だから、な?またこっちに来てくれないか?』
手を草むらにゆっくりと入れてじっと待った。
数分後…。
猫「にゃあー」
猫は俺の手にまた擦り寄ってぐるぐる鳴きだした。
皐月『可愛いヤツめ…、まず怪我を何とかしなくちゃな…、梅宮、この辺に動物病院あるか?』
急に話を振ってしまったが何となく状況が飲み込めた梅宮は
梅宮「それならここから5分くらいで開いてる病院あるぞ!こっちだ!」
流石総代様だな、状況言わなくても分かるなんて…。
俺と梅宮は動物病院へと急いで向かった。
in動物病院
先生「もう大丈夫ですよ、所々傷があったのは…恐らく虐待の類かと…、ただ首輪もしてないので野良猫に嫌がらせ…といったところでしょうか…。」
皐月『……許せません、そんな事するヤツら…。』
先生「私も同じ思いです…、この子どうするおつもりですか?来てもらったのはとても有難いですが、飼えないって方もいらっしゃいます…、そうなると動物保護施設に預けるしか……。」
皐月『俺が…、俺が家族になります。』
先生「信じていいんですか?こう言っちゃアレですけど…、飼うって言って放置する人沢山いるんです…。」
皐月『俺をそんなヤツらと同じにしないでください…、俺が、いや、この子が俺を選んでくれたんです…、だから俺はそれに応えたい。』
梅宮「うん、皐月の言う通りだ!俺も手伝う!一緒に面倒見よう!」
先生「……そうですね、貴方たちなら大丈夫だって確信できます、この子をよろしくお願いします。」
皐月『勿論です!』
俺と先生が話してる間も猫はずっと俺の掌で頬擦りしてぐるぐるしてる……、可愛いなぁ!
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