「――それで?」
軽やかに問いかけているのに、瞳の奥では何か違うものを求めているようで、どこか身構えてしまうのは、新人時代の記憶のせいか。
俺は舌先に僅かな苦味を感じながら、温くなったビールの入ったグラスを下ろす。
「……何がです?」
できれば、このまますり抜けられはしないだろうか、と思いながら、論点をずらしたようなとぼけ顔を向けるが、さすがに先輩だ。
ギラリ、と、口角も目尻も、妖しく吊り上がる。
「馴れ初め話すために残ったんだろ? どこからでもいいぞ」
どこから、とは、何を指しているのですか、と冷静に切り返したくなったが、恐らくそれは意味がない。
俺は無言で、グラスを傾け、しばしの時間稼ぎをする。
「いつから付き合ってたんだ? ていうか、告白はどっちからだ?堂本からと見せかけて、さてはお前だろ。いやぁ、ベタ過ぎて、逆に盲点だったぞ、お前ら」
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