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観測者l!!@暑すぎて溶けた☆
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菜津/natsu
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「あ、メモ帳?かわいー!」
授業が始まる3分前ほどだろうか、まだガヤも鳴るくらいの、騒がしい教室で2人は話していた。
りりは、1人の時間が出来た時、心の整理をつけようとメモ帳を買ってみることにした。
ゆるいクリオネの絵が書かれた、女の子らしいとも言えるであろうメモ帳だ。
椎名はそれを見て目を輝かせていた。
「へへ、いいでしょー?」
りりはそんな椎名に自慢げにしていた。
「最近お母さんに、絶対どっかで役に立つから買っときな〜って言われてさ!…そう、何となく…買おうと思って!」
そう言ってりりは笑った。
そうしているうちチャイムが鳴り、椎名は自分の席に戻る。
静まり返った教室に、30秒ほどして教師が入ってくると、授業が始まる。
歴史の先生はいつも通りだ。
椎名は少しばかり元気で、すごく眠そうということもない。
「今日は世界史だ。」
「まず、リィン・システムが見つかった経緯は覚えてるか?」
「はーい!」
生徒が手を挙げる。
「じゃあ”葉月”、答えてみろ〜。」
「探索チームと呼ばれてる人達のうち2人が見つけました!」
「お、正解だ。」
「せんせー、名前ってなんなんですか?2人の。」
椎名は質問する。
先生はううんと考えたのち、言いづらそうに答える。
「いやぁ、先生も知りたいところなんだが、如何せんどこにも載ってなくてな…」
「え〜??なんで〜?」
教室中からブーイングのようなざわめきが響き、教師が困ったように頭を搔く。
りりはそれを聞きながら、ぼんやりと考える。
授業を受けることはそこまで好きでない、歴史なんてなにが面白いのか分からないし、基本先生の話はそこまで面白い訳でもない。
それよりもレイマリだ_
(…考えたって意味ないことくらい分かってる。)
(………けど)
大学に行くためならこういったものも聞いた方がいいのかもしれない、だが頭にすら…
「さて、次だな。」
「リィン・システムがもたらしたものについての話かな。」
「リィン・システムには俺らみたいな人間には不釣り合いなくらい進歩してる技術なもんだから、誰が研究しても再現できないし、真相はまっったくわかってないんだよ。」
教師はため息をつく。
「ただ、分かってることがあるんだ。」
「”複数人で使ってはいけない”んだよ、リィン・システムは。」
「リィン・システムを1人のゲームのデータだとするか、そっちの方が伝わりやすい。」
教師は、そう言って教卓に自身の手のひらを置き、体重をかけたような姿勢になる。
少し考えるような仕草が目立ち、黒板近くに付いている小さな棚からチョークが取り出される。
「それを複数人で使うということは、 そこに勝手にアクセスして、同じ”データ”なのに”全く違う行動をしたデータ”が入り込むことになるんだ。」
お世辞にも上手いとは言えないが、大体は伝わるであろう図が描かれる。
「…うーん、こう見ると、パラレルワールドみたいなものなのかね。」
「パラレルワールドですか〜。」
椎名は両肘を机につけ、頭を支えるように両頬に手を置き、足をプラプラしながら授業を聞く。
一見退屈そうに見えるが、彼女が寝ないように授業を受けているのは歴史くらいだ。
棒人間2人、それぞれに線が引かれるが、リィン・システムを表しているものらしきひし形が書かれ、そこに2つの線が近づき、書かれた線がひとつになった。
(……すごいなぁ。)
椎名は内心、聞こう、聞かなくてはといった様子で、授業を聞く。
「…てことで、リィン・システムは複数人で使うな、って話だ。 」
椎名にとっては絶対に高得点を取れるのが歴史だ。
ほかは50~80とまちまちだが、歴史だけは85以上取れる。
(ま、授業態度のせいで減点されてるから、あんま意味ない気がするけどね〜、あはは。)
(うぅ、でも寝ちゃうんだから仕方なくない?)
椎名は聞こえないくらいに小さく、ため息をつく。
(はっ、だめだめ、授業に集中しよっと。)
「せんせー、そうなった事例ってあるんですかー?」
生徒が質問をする。
「あぁ、昔だがあるぞ。」
「そうなった人の名前こそ分からないが…大きい戦争の後に、そんなことがあったという報告がある。」
「確か、戦争前もあったかな。10件くらいだから少ないけど。」
教師は少し考える。
「現代では…聞いた事ないな…」
りりははっと意識が戻ったように小さく身体が跳ね、図が残されたままの黒板を見る。
りりは、心底驚いた顔をした。
_見たことがある感じがするからだろうか。
_しかも、つい最近、身近で起こったような…
りりは無意識に、椎名に目をやった。
相も変わらず楽しそうな椎名が、今は_
“そういった存在”に見える。
(…気のせい、だよね?)
りりは椎名の周りを、こっそりキョロキョロと見る。
_幸いなことに、歴史の席は椎名の後ろだ。
他に仲のいい人も前の席にいる。
(椎名ちゃん、リィン・システムなんて持ってないって言ってなかったっけ。)
(…なら椎名ちゃんは純粋なそれ?)
(いやでも、そんな感じ、全く…)
【私が原因だと思います。】
【すみません、困惑させてしまいましたよね。】
(あぁ!!うるさい!黙って!!黙って黙って…)
まるでフラッシュバックかのように、何度も、何度も反響する。
りりは手を挙げた。
「すみません、トイレ行ってもいいですか。」
「いいぞ〜、早めに戻ってこいよ〜。」
(…)
りりはメモ帳と急いで持ってきた赤ペンを取り出す。
そして、メモをする。
椎名にバレてはいけない、だからこうするしかない、自分のモヤモヤがこうしないと晴れない。
_できることなら、助けてくれ__
そう思っても、世界は何も変わらない、きっと知らないところでレイマリは行動してるし、誰も気にしたりしないし、私が勝手に悩んでいるだけだと分かっている。
だが相談していいものなのだろうか?秘密をバラすことは悪いことだ、信頼を失うくらい悪いことだ。
(……はぁ、はぁ…)
(…これ、買ってよかっ、た)
(…………お母さんが言ったなんて嘘だよ)
(私が落ち着きたいから買ったんだ…)