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兄が高校二年、私が高校一年
それまで、ずっと明るかった兄が
ある日を境にはっきりと様子がおかしくなった。
兄の制服が酷く汚れていたり、顔を赤く腫らしていたりした。
最初は転んだのかと思ったけど、そんな様子じゃなかった。
学校から帰ってきても部屋に閉じ籠る。
アルバイトも辞めてしまい、休みの日はトイレ以外部屋から出てこない。
食事もあまり食べず、夜中に私が起きた時は
兄の部屋から明かりが漏れていた。
ちゃんと寝てるのかな……
ご飯、今日も全然食べていない……
兄は世間でいう、ひきこもりになってしまい
そのうち、学校も行かなくなっていった。
私は何度か兄と話そうとドアをノックしたが
反応がなく、部屋には鍵がかけられていた。
ある日、トイレに行った兄の気配を感じて
そのタイミングで部屋の前で待ち伏せてみた。
久しぶりに兄の姿を見て
嬉しくなった気持ちは次の瞬間消えた
兄は痩せ細り、頭もボサボサで
以前の兄と全然違っていた
『おにぃ!ねぇ、どうしちゃったの!?』
『翔音、どいて』
私を押し退けて部屋に入ろうとする兄の腕を掴んだ時
以前の知っていた腕ではなく、細く折れそうだった。
驚いて、私は思わず手を離してしまった。
『おにぃ……』
『大丈夫だよ。翔音、そんな顔するな』
弱々しく笑顔を見せて
兄はまた部屋に閉じ籠った
――それが兄の姿をみた最後になった
―――
翌朝、お母さんが私の部屋にきた
『詩音知らない?部屋に居ないし出掛けた気配気がつかなかったんだけど』
お風呂場、トイレ、庭を探したけど兄は居なかった。
靴が一足消えていた
久しぶりに入った兄の部屋は
湿ってカビ臭かった。
ゴミを溜め込んでいることはなかったけど
兄は窓もカーテンも締め切って過ごしていたみたいだった
そして、私に着信があった
兄からだった
『翔音……俺、間違えた』
『おにぃ!!どうしたの!?ねぇ、おにぃどこにいるの?』
そして兄は、その後もう一言だけ残して
電話を切った
その日、警察からの電話で兄の死を知った。