” ®️雰囲気有
きっと、あの時は僕らにとって
最上級のときだったと思う。
そう、思っていないと
僕が壊れてしまうから。
僕は頭で毎日脳をからっぽにする
「 ねぇ、カイ 」
「 んー?どうした? 」
そう言って僕を呼ぶ君は
どんな声 だっただろう
呼ばれた僕は、どんな顔してただろう
初めて会った日の事なんて思い出せなくて
でもそんなのどうだっていいくらいには
キミが好きで好きで、
日々想い出が増えていった
「 ッ、カイ … ッ ♡ 」
甘ったるい息で僕に問いかける君は
どんな顔だっただろう
「 リツ、大好きだよ 」
君の名前、存在、全てが大好きだった
僕は君の瞳にどの様に映っていただろう
全部、ゼンブ、ぜんぶ
僕のモノで僕もキミのもの
でも手を繋いだって、ハグしたって
キスしたって、セックスしたって
僕には君の体温しか残らなかった
「 ねえ、カイはさ、煙草吸ったことある? 」
「 …… ない、かな 」
「 じゃあ煙草吸ってみない? 」
言い方的にも、君は経験者で
煙草の吸い方を教えてくれた
いつも抱いた時にほんのりと薬草の
香りがするのは勘違いでは無かったようで
「 リツ、煙草ある? 」
「 どーぞ 」
「 ありゃ、火ねーじゃん 」
すっかりヤニにハマって
カチャ、カチャとライターを
付けようとしても火が付かない始末
「 お、じゃーコレ、あげる
煙草咥えて、こっち 」
「 ん 」
自分の返事と共に僕の煙草に
火が移る。
「 コレやってみたかったんだ 」
「 シガーキスって言うんだよ。
煙草の関節キスみたいな? 」
「 …… ほーん 」
いつもはリツにあるはずの熱が
僕に移った気がしたのはきっと
シガーキスのせいで、
たったこれだけの事が僕の一生の
思い出になったのも約束のせい。
「 約束、しよっか 」
「 、約束ぅ? 」
「 そ、約束。
俺らでシガーキスをしあって、
火が完全に切れたら … お別れ 」
「 …… 、なんでシガーキス? 」
ベランダで線香花火をしてる途中に
そんなことを言われた。
「 なんか、ふと似てるなーって 」
「 …… いいんじゃない、」
あの時の僕の返事がまた違えば
もしかしたら今も違ってたかも知れない
あの頃は恋なんてものじゃ
片付けられない程には狂っていて
お互いにお互いが必要不可欠だった
思えば、それでも僕はリツの事を
何も知らなくて、リツも僕の事を何も
知らなかった。
苗字も、漢字も、家族構成も
年齢だって知ろうとしなかった
知ろうとする時間が無いくらいに
僕はキミに溺れてた
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” シガーキス ”
それが、リツにとっては僕らを
終わらせるトリガーで、賞味期限の始まりだった。
リツは突然的に姿を消した
服も靴も何もかもかをそのままで
「 そりゃいずれとは思ってたけど、
こりゃナシだろ … 、 」
それでも時は過ぎてゆく。
まるで僕の気持ちを置いていく様に
君の匂いがまだほんのりと香った部屋
煙草が匂うベランダ
リツとシたベッド。
全てがそのまま過ぎて、ここを
地獄と呼べるには十分なものだった
苗字も、何も分からなければ追えやしない
もしも、、なんて妄想すら
させてやくれない。
冷蔵庫を見れば、記念日に買った
ケーキがまだ残っていた
そういえばあの日はそのままベッドで
朝までしたっけな。
「 もう、賞味期限切れだな。 」
そんな言葉は、一つのアパートの部屋に
沈んでいった
コメント
10件
薔薇でこんなに刺さったの初めて もうタイトルの付け方から内容まで愛してる︎🫶🏻💕 賞味期限をタイムアウトにしてるのさすがに好きすぎる シガーキス書いてる人少ないからほんっとに嬉しい 愛読します
ん も め っ ち ゃ す き 🥹 シ ガ ー キ ス 思 い つ く の も 賞 味 期 限 切 れ を タ イ ム ア ウ ト に し て る の も ほ ん と 天 才 す ぎ て 流 石 に 愛 読 す る 愛 し て る
すきだーーほんとにまおの薔薇見れるとか最高ですか?だいすきです 煙草に染まる前は「煙草」って表現だったのに染まってから「ヤニ」になるのがもーーすき。 賞味期限をタイムリミットは天才かと思った流石にりおには思いつかなかったです天才的な表現すぎてすき 賞味期限切れをタイムアウトもほんとにすき シガーキスって言うのを初めて知りました煙草とかそういう表現がすきな俺としては歓喜しかないですよ。