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りすぐみ
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#コメディ
中学生の私は、それから何度も何度も、毎日…かもしれません。
ねこちゃんのところへ行きました。
そうですね…すこし、遠回りだったでしょうか。
そんなことなんて些細に思えるくらい、楽しかったんです。
春のことです。
あのねこちゃんは、たぬきに化けてる時と、ねこのまま日向ぼっこしてる時がありました。
今日は、たぬきじゃないんだ。
そう話しかけると、ねこちゃんはごろりとアスファルトを転がって、にゃーんと鳴きました。
夏のことです。
人の家の日陰に入ってのんびりしていると、いつも通りねこちゃんがどこからか現れました。
私が近くのコンビニで買ったアイス。
水色の雫が道路に落ちて、しみをいくつも作りました。
終盤に、棒から溶け落ちた夏色の氷の塊を、狙っていたかのように私の足元に居たねこちゃんがぱくりと食べました。
秋のことです。
舞い散る紅葉を、涼しくなってきた空を眺めて。
綺麗な星空を見上げて。
ずっと私のことを見上げていたねこちゃんと、もっと上を眺めるのが楽しくて。
門限を破ることもしばしばでした。
冬のことです。
厚着した私に抱かれ、ねこちゃんは不思議そうに、にゃと短く鳴きました。
腕の中で生きている存在が もぞもぞと動くのを、愛しく思いました。
雪が、ねこちゃんの鼻に乗った時、ねこちゃんがするりと抜け出し、雪の降る路面を颯爽と駆け出しました。
気づけば、家の近くまで来てしまって。
お母さんに知られてはいけなかった私は、ねこちゃんをもう一度抱きかかえて、いつもの場所まで帰しました。
ねこちゃんは、地面に降り立った後も、ずっと、不思議そうに、急ぐ私を見つめていました。
二周目の、春のことです。
桜を眺める私の足元に、いつも通り、ねこちゃんの居場所がありました。
二度目の夏のこと。
水がなくなった水筒に入った氷を、うっかり道路に落とした時。
一瞬で溶けていく氷に、怖っ…とねこちゃんと顔を見合わせたことを覚えています。
秋のこと。
灼熱だったアスファルトの温度が、日に日に冷えていくのがねこちゃんの行動で分かってしまって、一人でこっそり笑いました。
冬。
毛づくろいをするねこちゃんを、ただ眺めていました。
しなやかで、柔らかくて。
温かいねこちゃんが、大好きでした。
最後の、春のこと。
ねこちゃんは私と別れた後、時折電車を見上げては、ふーっとうなっていました。
私の足元に、ねこちゃんの居場所があったはずなのに、いつの間にか、ねこちゃんが家に帰りたくない私の居場所になってくれました。
綺麗な毛並みをそっと撫でて。
私を見つめるねこちゃんの瞳には、何が映っていたんでしょう。
ねこちゃんは、私とお別れすること、分かっていたんでしょうか。
私達はもう、2人で夏を過ごすことはありませんでした。
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