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「あっ……ごめんね。大丈夫だから」
私はしどろもどろに、左手に掴んだままの男性器を動かし始めた。
「あぁっ……」
またビクンと身体を震わせる、ユキちゃんの喘ぎが吐息と共に漏れる。
確か上下に擦る事で、射精を促せる筈だ。
だけどなるべく易しく、ゆっくりと擦らねばならない。
少しでもユキちゃんが苦痛を感じてはいけないから。
私はゆっくりと――上下に、断続的に動かしていた。
「はぁ……はぁ……あっ! お、お姉ちゃん……」
ユキちゃん、感じてる――。
どうやら苦痛は感じてはいないみたい。
それ処か――
「ユキちゃん……痛くない?」
私は思いきって聞いてみた。
「ううん……痛くないよ。でも何か……変な感じ?」
良かった。苦痛じゃない――とすると?
「凄く……気持ちいいよお姉ちゃん!」
気持ち良いんだ――。私は何故か、気持ち良いと言ってくれるユキちゃんに嬉しくなった。
私でユキちゃんが気持ち良くなってくれている――
「お姉ちゃん、お姉ちゃん――」
まるで愛しい者を呼ぶように反芻。私もそれに併せて、上下への手の動きを速めていた。
もっとユキちゃんに気持ち良くなって貰いたい――
「気持ちいいよ……お姉ちゃん!」
既にユキちゃんの男性器は、はちきれんばかりに大きくびくつき、先端からは透明な液体が溢れ出していた。
そのヌルヌルした透明の液体が、流れ伝わる私の手と相まって“クチュ クチュ”と、卑猥な音が小さな風呂場に響き渡った。
「お姉ちゃん駄目っ!」
突如ユキちゃんのが、ビクビクと私の掌で暴れだす。
射精の到来なのだろう。私はより一層、上下への動きを速めた。
「おしっこが……おしっこが出ちゃうぅ!」
ユキちゃんはそれを排尿の予感と思ったのだろう。私の膝元で抗おうと、身を捩らせていた。
「大丈夫よユキちゃん。これは健康な証拠なんだから――」
「あぁ出ちゃう……出ちゃうよぉ!」
その瞬間――尿道がうねったかと思うと、勢いよく先端から放出された。
初めての射精。
それは浴場のガラス戸にまで飛び散っていた。
濃厚な黄色混じりの、白い大量の精液――命の源。
「はぁ……ああぁ……」
ユキちゃんが私に抱かれながら、放心の喘ぎを洩らしていた。
――射精後。私の掌で急速に硬度を失っていく、ユキちゃんの男性器。
「ユキちゃん……ごめんね」
何故か分からず、私はユキちゃんを抱き締めながら謝っていた。
――それは罪悪感?
「ううん……。楽になったよお姉ちゃん」
だけどユキちゃんは、晴れやかな笑顔を私に見せた。
「それに……凄く気持ち良かったの僕。ありがとうお姉ちゃん。だから謝らないで……」
もしかしたら私は姉として、いや人として間違っていたのかもしれない。
「ユキちゃん……」
もう一度、愛しい弟をきつく、この胸に抱き締める。
ユキちゃんのあどけない微笑みが、私の呵責を崩れさせていた――。