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俺、津炎の彼氏の主炎はソファーに座ったまま俺を膝の上に乗っけて幸せそうな寝言を言いながら寝ている。
「寝顔すらも格好良い」
ふと、そんな言葉が漏れる。仕方が無い事なんだ。此奴がカッコ良すぎるから。
そんなことを考えていると、スマホからコール音が流れて来る。
「誰だ?」
不思議に思い、スマホを手にとって画面を見てみる。
俺の妹の独からだった。彼奴から電話が掛かってくるのは珍しい。最近はまともに顔も合わせてないし、声も聴いていない。
「出たらどうだ?」
そんな事を思っていると頭上から声が聴こえた。
「起こしたか?」
見上げるようにして主炎の顔を見る。
「いや。元から起きてた」
当たり前かのような顔をして主炎はそう言う。独り言全部聞かれてた。そう思うと恥ずかしくなって来た。
俺は逃げるようにして、主炎の膝から降りて廊下に出た。
一息ついてから電話に出た。
「もしもし、どうしたんだ?独」
久し振りに独の名前を口にした気がする。懐かしいな。
『あ、あのな、兄貴』
『今日、公園でさ、イタリアのドールの伊華って奴に会ってさ、そいつ、自分の姉の王華って奴を捜してんだってさ。大事な姉さんらしくってさ、兄貴、前に王華のこと話してたろ?なんか知らないかなって、思ってさ』
独は途切れ途切れの言葉をなんとか紡いだように、一生懸命に俺に話した。
王華さんの事か、。あの日以降、連絡は無い。そう言えば、日本に来ると言っていたな。
「王華さんか、懐かしいな」
「確かに、妹がいると言っていたな」
懐かしくて、仕方が無かった。何時も、全員が集合するのには時間が経ったな。
「王華さんは、生きているぞ。元気にしていると、この前電話が掛かってきた」
電話で伝えられた事を素直にしっかりと伝えよう。
「俺も、正確な位置を言えるか、と言われれば、口を噤んでしまうだろう」
「あの人は自分の主であるイタリア王国と共に世界中を旅しているらしい。それで明後日、日本にも行くんだとか」
王華さん、残念でしたね。貴方は自分の妹に嫌われようとしましたが、妹というものは案外しぶといみたいですよ。逃げるなんて、許しませんからね。しっかりと向き合って下さいね。
『日本の何処に来るんだ!?』
独は少し食い気味に尋ねてきた。
「確か、京都の先斗町だったか?」
『先斗町、、、』
そう呟いた独の声には大きな期待と喜びと少しの不安が隠れていた。
『ありがとう、兄貴』
「いや、此方こそ、俺に電話してくれてありがとうな」
久し振りに独の声が聴けた。最近は兄妹でまともに話もしなかった。そんな俺たちがきっかけはどうであろうと電話で話せたのだ。嬉しいに決まってる。
その後、プツッと電話は切れた。
「久し振りの兄妹水入らずの会話はどうだった?」
リビングからひょこっと主炎は顔を覗かせてそう聞いてきた。
答えは勿論。
「楽しかったさ」
「そっか。良かったな」
そう返してくれた主炎の顔はとろけそうなほど優しかった。