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【7話】任務を終えた二人は、月明かりの差し込む森の小道を歩いていた。 昼間の戦闘の緊張が解け、空気はどこか穏やかだ。
「今日は、ほんとに海星くんのおかげで助かったよ」
くらげが笑いかけると、海星は首を横に振る。
「違う。……助けられたのは俺の方だ」
「え?」
「お前がいたから、俺は全力を出せた」
淡々とした声なのに、その言葉はどこかあたたかい。
ふと、くらげが足元の石につまずきそうになる。
今度は転ぶ前に、海星の手が彼女の手を包んだ。
「……夜道は危ない。離すな」
そのまま指先を絡められ、くらげの心臓が一気に早鐘を打つ。
「え、えっと……これって、手つなぎ?」
「そうだ。……嫌か?」
「ぜ、全然!」
くらげが慌てて答えると、海星は小さく笑った。
「なら、このまま行こう」
握られた手は温かく、夜風よりもずっと心地よかった。
月明かりに照らされた二人の影は、寄り添うように並んでいた。