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バン!!
ピザ屋のドアが蹴破られる。
黒いスーツの男たち。
銃。
一気に店の中へなだれ込む。
「動くな!」
エリオットとチャンスはカウンターの前。
ネクタイはまだ――
エリオットの手の中。
ぐい
チャンスが呆れた顔で言う。
「今それ?」
エリオットはにこっと笑う。
「癖」
マフィアの男が銃を向ける。
「チャンス」
「……」
「やっと見つけたな」
チャンスは小さく息を吐く。
「早かったな」
男が一歩前に出る。
「ボスがお前を呼んでる」
チャンスが言う。
「断る」
男が銃を少し上げる。
「なら――」
その時。
エリオットが前に出る。
ネクタイはまだ掴んだまま。
ぐい
チャンスが小声で言う。
「下がれ」
エリオットは笑う。
「やだ」
マフィアの男が苛立つ。
「どけ」
エリオットは振り向く。
にこにこした顔。
「ピザ屋だよ」
「関係ない」
「あるよ」
男が眉をひそめる。
「何?」
エリオットはネクタイをくるくる巻く。
そして。
笑顔のまま言う。
「俺の店」
男たちは一瞬だけ戸惑う。
でもすぐに銃を向け直す。
「だから?」
エリオットは肩をすくめる。
「店壊されたくない」
男が言う。
「邪魔するなら撃つ」
チャンスが小さく言う。
「エリオット」
でも。
エリオットは笑ったまま。
そして。
ポケットからスマホを出す。
一つボタンを押す。
ピッ
男たちが眉をひそめる。
エリオットは言う。
「ねえ」
にこっと笑う。
「誰の店だと思ってるの」
男が苛立つ。
「何言って――」
その瞬間。
男のスマホが鳴る。
ブルル
全員。
一斉に。
男は画面を見る。
そして――
顔色が変わる。
「……」
電話の向こうの名前。
ドン・ビルダー
裏社会で有名な名前。
この街のマフィアを束ねる男。
男が震える声で言う。
「……はい」
数秒。
沈黙。
それから。
男はゆっくり顔を上げる。
そして。
エリオットを見る。
エリオットは――
相変わらず。
にこにこしている。
ネクタイを引きながら。
ぐい
男が震えた声で言う。
「……申し訳ありません」
部下たちが驚く。
「え?」
男はすぐに銃を下げる。
「すぐに出ます」
エリオットは軽く手を振る。
「うん」
男たちは慌てて店を出ていく。
壊れたドアの向こうへ。
静寂。
店には二人だけ。
チャンスがゆっくり言う。
「……今の」
エリオットはネクタイをくるくる回す。
「うん?」
チャンスが聞く。
「ドン・ビルダー」
エリオットがにこっと笑う。
「父親」
チャンスが固まる。
「……は?」
エリオットは肩をすくめる。
「ボス」
チャンスはしばらく言葉が出ない。
エリオットはネクタイを引く。
ぐい
「だから言ったでしょ」
チャンスが聞く。
「何を」
エリオットは楽しそうに笑う。
「俺」
少し顔を近づける。
「普通じゃない」
チャンスは数秒黙る。
それから小さく笑う。
「……怖いな」
エリオットが首を傾げる。
「俺?」
チャンスは頷く。
「お前」
エリオットはにこっと笑う。
そしてまた。
ぐい
「でも」
チャンスが聞く。
「?」
エリオットは楽しそうに言う。
「ネクタイは引っ張る」
チャンスはとうとう笑った。