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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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治侑


時間軸は高校生

都合いい

宮宮お誕生日おめでとう!!


※本作品とお名前をお借りしている作品との関係は一切ございません。



_



侑side


「さ、む、?」

押さえつけられた両腕が痛む。

そして、天井と共に視界に映る片割れの顔が怖い。

「さむ、どぉしたん?…こわ、ぃで、さむ、」

聞いてみても、その目はギラリと光って俺を捉えて離さない。


「…ごめんな、ちょっと乱暴にしすぎたわ」

そう言って、ハッとしたように俺の腕を押さえつけていた手をどかす。

こころなしか、先ほどより目にハイライトが宿った気がした。

なんでこうなったのか、見当もつかなかった。



_



「さーむー!」

放課後教室に残っていた銀髪に、俺は声をかけた。

「…ツム、なんやねん急に、テンションたっかいなぁ」

そう呼ぶ声は、キツそうでキツくない。

その中には優しさがこもっていることを、俺は知っている。


「別にテンションたかないわ!」

「そもそも来るの遅いねん」

いつものようなじゃれあい。

「やらなあかんことあってんもん!そんなに言うならサムが来てくれたらよかったやん」

「俺だって忙しいんですー」

でも、今日は。

「なんやねんこいつ」


「…あ、それはそうと、あんな大声出してどうしたん?」

「実はな、母ちゃんばあちゃんとこ行くねんて。あと、父ちゃんは出張らしいから、一日二人で留守番よろしくなぁって、さっきメールで来てん」

「ほぉ、メシは?どうするん?」

サムはやっぱ飯のことばっかりやなぁ、と思いつつも、サムらしくて安心する。

「母ちゃんが作ってくれてんねやと」

「そうなんや、ならええわ」

そう言って笑う顔はいつもよりかわいらしくみえた。


「なにニヤニヤしとんねん、きっしょいわ」

「はぁ!?同じ顔やし!」

サムがいつかどこかへ行ってしまうのではないかと、怖い。

けれど、なんだかこういうときだけは、他からは喧嘩しているように見えたとしても、安心している俺がどこかにいる。

「じゃあ同じ顔でニヤニヤせんとってな」

「もーそんなんどーでもええねん!はよ帰ろ!」

「ふっ、はいはい」

そう言って、サムもカバンを手に取った。



_



「腹減ったなぁ」

家に帰るなり、そう言いだすサム。

やっぱりサムはサム、どこにも行かへんのや、と思いながら、せやなぁ、と返事をした。

「メシやっとくから風呂入っとき」

「全部食ったらあかんで!?」

「食わへんわ、あほ」

サムの胃はブラックホールなので、一応口止めしておく。

まぁ、どうせ減ってんねんけど。



「風呂あがったで~!」

リビングへ戻ると、いい匂いがふわり、とした。

「今日はカレーか、うまそうやなぁ…!」

「ん、食おか、はよすわってーや」

サムはもう待ちきれないらしい。

カレーも、キラキラときらめいているように見える。

「はーい」


サムはいつだって、どんな飯でも美味しそうに食べた。

俺は、あいつと違って好き嫌いがあったけれど、サムにはなかった。

「ん~、カレーはやっぱうまいなぁ!」

「そうやなぁ!」

やっぱり、飯食ってるときが一番幸せそうやな、と、俺は思う。

俺も、飯を食っているサムの幸せそうな顔を見ると、少し癒される…というかなんというか。

幸せな気持ちになる。

そういえば角名も言っとったなぁ、と思い出しながら、カレーを頬張った。


ごちそうさまでした、と言いながら手を合わせる。

「俺食器洗っとくから、サム風呂入っといで」

「おん、ありがとうな」

そう言うと、サムは風呂場へと消えていった。


サムは風呂長いんよなぁ、と思いながらソファーでゴロゴロする。

ぴこん、とスマホが鳴って、誰かと思えば北さんだった。

それをみると、明日練習ないから間違えてこんようにな、と書いてあった。

今日は金曜日。明日は土曜日で、学校もない。

なんと都合のいいことなのだろうか。

誘…って、あほ!サムは最近忙しそうやし、無理やろうな…


「あがったで~」

「あ、サム、明日練習ないって」

「見た見た、北さんマメよなぁ、」

「せやなぁ」

どちらとも誘うことなく、ただ淡々と時間が過ぎていった。



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