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夜は、
やけに長い。
店の灯りも、
ネオンも、
今日は全部うるさく見えた。
帰宅して、
ソファに沈む。
ネクタイを外して、
シャツのボタンを一つ外す。
スマホを開く。
Rとのトーク。
最後のやりとりは、
俺。
既読は、
つかない。
——まだ、だよな。
自分に言い聞かせる。
今は忙しいだけ。
編集とか、
配信の準備とか。
理由を並べるほど、
不安が増える。
数分後。
もう一度、
画面を見る。
……変わらない。
既読、なし。
胸の奥が、
じわじわと
冷えていく。
これまで。
女からの未読なんて、
気にしたことなかった。
返ってこなくても、
次がある。
でも。
Rだけは、
違う。
指が、
勝手に動く。
ジュン
さっきの、
気にしてるなら
悪かった。
送信。
すぐ、
後悔する。
——謝る必要、あったか?
——俺が?
既読は、
つかない。
時間だけが、
進む。
煙草に火をつける。
一口吸って、
消す。
落ち着かない。
Rは、
どんな顔で
この画面を見ているんだろう。
……見てないかもしれない。
その想像が、
一番きつい。
——俺は今、
“待つ側”だ。
今まで、
人を待たせてきた。
返信を焦らせて、
不安にさせて。
それを、
“余裕”だと思ってた。
胸が、
少し痛む。
——これが、
あの子たちの気持ちか。
もう一度、
送ろうとして。
やめる。
Rは言っていた。
「感情を、
預けない」
今、
俺は。
完全に、
預けている。
既読一つで、
揺れている。
深夜。
スマホが、
一度だけ震える。
反射で、
画面を見る。
……通知じゃない。
アプリの更新。
馬鹿みたいに、
ため息が出る。
「……くそ」
声に出すと、
部屋が静かすぎて
余計に響いた。
Rは、
これを
狙ってるわけじゃない。
分かってる。
でも。
何もされていないのに、
追い詰められている。
それが、
一番、怖い。
ベッドに倒れ込む。
天井を見る。
昼の光景が、
また浮かぶ。
カフェ。
笑顔。
「レイ」。
俺は、
知らない世界に
踏み込もうとしている。
感情を使わない女。
期待を与えない距離。
答えを渡さない沈黙。
……強すぎる。
スマホを、
胸の上に置く。
画面は、
暗いまま。
——既読がつかない。
それだけで。
俺はもう、
“飼われる側”に
片足を突っ込んでいる。
気づいてしまった。
それが、
一番、
まずい。
No reply.
Not even rejection.
Just silence.