――ここは「戦争」の舞台。誰が正しいかではない。誰が命令を実行したかだけが価値になる。
焼け焦げた都市を、ナチスはゆっくりと歩く。
軍帽を深く被り、金髪を隠し、軍服で自らの胸を徹底的に押し殺す。
「チッ、また俺一人か。まぁ、俺に命令すんのが一番早ぇもんな。」
ナチスは誰よりも強く、そして、誰よりも『空っぽ』だった。
命令がなければ、彼女は存在すらできない。
『次、南部制圧。殲滅優先。』
「了解。」
敵が悲鳴を上げる。ナチスは、ただ静かにその命を刈り取るだけだった。
──遠く離れた戦線。
フランスは優雅に紅茶を飲みながら戦場を見下ろしていた。
軍服は体にぴったりと張り付き、豊かな胸元を堂々と晒している。
「ふん、あいつ……また暴れてるのか。女であることすら認めないなんて、必死だねぇ。」
フランスは笑う。
彼女は「女」であることを隠さない。むしろ誇っている。
「誰が何と言おうと、私は私だ。あたしは誰の命令も聞かない。」
中国もまた、一人静かに戦場を駆けていた。
お団子頭を揺らしながら、大剣を軽々と振り回す。
「我がやるアル。命令?我が出すヨロシ。」
中国は政府の操り人形ではない。
彼女は自分の意志で、ただ“守るため”に戦っていた。
──彼らは皆、国家の名を背負って戦う。
だが、その在り方は一人一人、決して同じではない。