テラーノベル
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『警告。対象:アシダカグモから致命的な殺意を感知。戦闘モードに移行します』
脳内に響く世界の声と同時に、俺の全細胞が沸騰した。
目の前にいるのは、前世で幾千もの同胞を葬ってきたであろうプロフェッショナル。それが今は、あの軍曹こと「アシダカグモ」の肉体を得て俺を睨みつけている。
「元・駆除業者だと……? 面白い。害虫と蔑まれた俺の『神速』、見せてやるよ!」
『ハハハッ! 威勢がいいなゴキブリ風情が! 潰れろ!』
ガシィィィッ! と蜘蛛の八本の脚がステンレスの調理台を弾いた。
凄まじい跳躍力。巨体が、暗闇の中をノーモーションで肉薄してくる。
(速い! だが――!)
俺の二本の触角は、奴が動く直前の「空気のヨレ」を完全に捉えていた。
『特殊能力【神速(アクセル)】――最大出力!』
カサササササササササササッ!!!
時速百七十キロの世界が展開する。俺の肉体は黒い残像となり、襲い来るクモの真下をスライディングで潜り抜けた。
ドパァン! と、さっきまで俺がいた場所にクモの巨体が叩きつけられる。金属の調理台が派手な音を立てた。
「なっ、速すぎる!? 視界から消えただと!?」
『駆除業者なら、ゴキブリの最高速度くらい頭に入ってんだろ!』
俺は振り返りざま、キッチンの壁を垂直に駆け上がった。
目指すは、コンロの脇に置かれた調味料ラック。その最上段にある【秘宝・一味唐辛子の瓶】だ。
『逃がすかよぉッ!』
クモが驚異的な三次元移動で壁を追ってくる。八本の脚をフル活用したその登坂速度は、俺の神速に引けを取らない。さらに、奴の大顎から怪しく光る液体が滴り落ちた。あれは間違いなく、獲物を即座に融解させる【麻痺毒】だ。一発でも掠れば終わる。
だが、俺の方が一瞬早く調味料ラックの頂上へ達した。
「前世の知識をナメるなよ! クモは『刺激物』に弱いはずだ!」
俺は自慢の六本の脚を踏ん張り、一味唐辛子のボトルの底を、渾身の力で蹴り上げた。
パシィィィンッ!
『ユニークスキル【驚異の生命力(怪力変換)】が適用されました』
小さな虫の力とは思えない一撃がボトルを直撃する。傾いたボトルのキャップ(緩んでいたやつだ!)から、真っ赤な唐辛子の粉末が、追撃してきたクモの顔面へと大量に降り注いだ。
『ギャァァァァァァァァーーーッ!? 目が、鼻がァァァ!!』
前世が人間だろうと、肉体はクモだ。感覚器官が繊細な分、唐辛子のダメージは致命的だった。八本の脚をバタつかせ、クモが壁からボタボタとコンロの上へ落下していく。
「チャンスだ!」
俺は壁を蹴り、落下するクモめがけて空中から急降下した。
狙うは奴の最大の武器である、あの不気味な頭部。
「これで、チェックメイトだぁぁぁッ!!」
俺の漆黒の翅(はね)が激しく羽ばたき、ブゥゥゥンと不快極まりない羽音を立てながら、クモの脳天へと突撃した――。
コメント
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わああ!第3話、めっちゃ熱かったです!🔥✨ 時速170キロの神速とか、唐辛子でクモの弱点突くとか、まさに「虫同士のバトルなのに人間時代の知識で戦う」っていう設定が最高にエモいです😭💕 特に「チェックメイト」の決め台詞、痺れました!! アシダカグモも元人間っていう因縁、気になりすぎる…!次回が待ち遠しいです!🍊好きさんのバトル描写、めちゃくちゃカッコ良かったですよ!