人気アイドルグループSnow Manの頭脳派・阿部亮平は、アイドルとして活動する裏で、芸能界の殺し屋としても活動している。「ま、待ってくれ……命だけは……!!」
💚「フッ、今さら命乞い?もう遅いよ」
バンッ!
冷酷な表情で有名IT企業家を撃ち殺すと、阿部はどこかに電話をかける。
💚「……終わった。片付けお願い」
?『あいよ。お疲れ様、あべちゃん』
一言だけ交わすと、阿部はすぐに電話を切り夜の闇へと姿を消した。
どんな相手でも淡々と殺してきた阿部のもとに、ある日思いもよらぬ依頼が舞い込んできた。
💜「おはよ、あべちゃん!」
IT社長暗殺を実行した次の日。朝一番に楽屋に到着した阿部に続いて、人生の大半を共にする同期、深澤が入ってきた。周囲に誰もいないことを確認すると、部屋の隅で阿部に一通の手紙を渡す。
💜「はいこれ、次の依頼」
深澤は、グループの中で唯一阿部の裏の顔を知る人物。そして暗殺依頼の持ち込み役兼、死体の片付け担当だ。その界隈では「後処理屋」と呼ばれている。阿部と同じ裏の会社に所属しており、昨日阿部が電話をかけたのも深澤だ。
💚「ありがと、ふっか」
阿部は深澤から受け取った依頼の手紙を開け、内容を確認する。
💚「……え?」
💜「ん?どったのあべちゃん」
固まる阿部の横から手紙を覗き見る深澤。深澤も、同じように固まった。
💜「え、嘘でしょ……?SnowManの中に、同業者が?」
💚「俺たちの今後の邪魔になるから、見つけ出して殺せだなんて、そんな……」
彼らが人生を捧げていると言っても過言ではないこの表でのグループに、同業者がいるというのだ。同業者同士、出会ってしまえば片方は必ず命を落とさなければならない決まりだ。すなわち……
💜「俺たち、ピンチってことだよね」
自分の命が消えるかもしれない可能性が出てきた。相手よりも先に、こちら側が見抜いて始末しなければならない。でも。
💚「そうだけど……できないよ、そんなこと。ここまで一緒にやってきた大切なメンバーなのに」
阿部は寂しげに呟く。このグループが結成され、このメンバーで同じ道を歩み始めてから、もう10年以上もの時が過ぎている。殺すなんて、考えられなかった。
それでも深澤は、阿部に言う。
💜「俺かって嫌だよ。でもさ、あべちゃん……俺たちが裏の仕事に手を染めるって決めた時から、覚悟してたじゃん。この可能性のこと」
いつか、メンバーの暗殺依頼が来るかもしれないこと。何らかの理由で、メンバーを手にかけないといけなくなるかもしれないこと。
💚「……分かってる、分かってるよ。でもさ……!」
いざ目の前にすると、苦痛以外の何者でもなかった。それでも、依頼は必ずこなさなければならない。どんな依頼も受けること、それが裏会社との契約の一つだった。
言葉を詰まらせて涙を流す阿部の背中を、深澤はたださすってやるしかなかった。
その日から、阿部と深澤による同業者探しは始まった。メンバーを疑うなんて、と塞ぎ込んでいた阿部も、日が暮れる頃にはすっかり殺し屋の目つきに。そうしてメンバーを疑いの目で見ているうちに、奇妙なことに気づいた。
メンバーみんなが、怪しく思えてくるのだ。怪しむ視点で見ていたら誰しもが怪しく見えるとかそういうことではなく、みんな一見自然に見えるけれども、よく考えたり見たりすれば怪しい動きをしているのだ。例えば。
撮影合間の休憩時間、飲み物はまだたっぷり残っているのに「自販機行ってくるね」と楽屋から出ていくラウールと目黒。
しょっちゅう誰かから電話がかかってくる渡辺、その通知を見るとなぜか非通知になっていたり。
みんなと喋りながらも常にスマホをいじっている向井、その画面を見るとすぐにメッセージが消える仕様の連絡アプリだったり。
定期的に楽屋の隅で何かをヒソヒソと話している岩本と宮舘、会話の内容までは分からなかったが、二人の顔に笑顔が見えることはなかったり。
メンバーみんなの所に行って元気よく喋っている佐久間が、時々思い詰めた表情になっていたり。
💚「……なんか、みんな怪しくない?」
今日の分の仕事が終わり、飲みに行くというていで一緒に帰っている阿部と深澤。その間、2人は互いの情報を交換し合う。
💚「非通知設定の電話とかやばいでしょ」
💜「うん、そうだねぇ……」
深澤は頷く。
💜「思い詰めた表情の佐久間は疲れてるだけかもだし、こそこそ喋ってるだてと照は何かの企画の可能性もあるけど……問題は康二となべだね」
💚「そうそう!あの二人、もしかしたら何かあるかも……」
💜「じゃあとりあえず、その二人を中心に探ってみようか」
💚「了解!じゃせっかくだし、ちょっとだけ飲んで帰ろうよ」
💜「いいよいいよ〜どこ入る?」
始めに探ってみる人を決めた阿部と深澤は、そのまま飲み屋に入って一杯交わした後、帰宅してそれぞれの調査に取り掛かった。
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