M!LKの佐野勇斗、只今絶賛お悩み中。他からしたら「そんなことかよ」くらいの小さな悩みだが、俺からするとそれはもう頭を抱える…そんな頭を抱える様な悩みというのは、
"最近仁人が冷たくなった"
ということ。冷たくなったという表現は少し語弊があるかもしれないが、前みたいに甘えてくることが減った。もちろん、お互いの仕事で忙しいのは分かるが仕事で疲れた俺にとって、仁人の甘えは俺の至福の時間でもある。それが減るということは、俺の疲れも取れないということ。
「あ〜あ…はぁ…」
「ん?どーしたん?」
「ん、あ〜舜太…ちょっと聞いてくれよ」
「どうせ仁ちゃんのことでしょ?」
「よくわかってんね、正解。」
「で、仁ちゃんがどうしたん?」
「なんか最近冷たくなったというか…甘えなくなったっていうか…?」
「笑つまり、構ってくれなくて寂しいってことね」
「いや!それは話が違う!」
「笑まぁ、そういうときは本人に直接伝えるのが1番ええと思うよ」
「でも、恥ずくね?想像してみ?俺みたいなやつが…」
「伝えないと今と変わらんよ?恥ずかしがらずにさ勇気持って!」
「ん…そ、そうだよな。とりあえず頑張ってみる。舜太さんきゅ」
「うん!頑張ってね」
そんなこんなで解決策は一応見つかった?にしても勇気がない。甘えるってこんな難しかったっけ?でもこのままの状態も嫌だし…
「あ〜もう!やるしかないよな」
男の意地だとか勝手に決めつけ、自分を奮い立たせた。
「ただいま〜」
「お、おかえり」
仁人が帰ってきた。さて、いつ伝えようか…
「ごめん遅くなった!今からご飯作るわ」
「あ、いや全然。ありがとう」
「ん?どうした勇斗 」
「え…?なんでもないよ」
伝えたいと恥ずかしさの葛藤でどうも落ち着かない。そんな状態で、夕飯を終え風呂も終え…気づいたらもう寝る時間になっていた。
「じゃ勇斗おやすみ」
いつもは一緒に寝室に行って、おやすみのキスをする。寝れない時は抱きしめ合って…そんな当たり前にしてたことが今では無くなった。自分も仕事で疲れているのか、メンタルも安定せず寂しさと、言えない自分の惨めさで涙が滲む。すると、ポツポツと本音が漏れ始めた。
「なぁじんと…?」
「ん?え、どうしたの勇斗」
「もう、俺に甘えてくんねぇの…?あ、いや、なんでもない…」
涙と共に思いが溢れた。自分の言ったことをすぐさま理解し訂正したが、涙は一向に止まらない。すると仁人が寝室に行こうとしたのを止め、俺の隣に座った。
「どーしたよ勇斗、何かあったの?」
あやすような声色で聞かれたら、もう恥ずかしさなんてどうでもよくなって、次々と降り積った思いが口に出る。
「最近の仁人…なんか冷たいなって思って…」
「そんなに冷たい?俺」
「一緒にベッドに入ることも無くなったし…寝る前のキスもハグも…もう無くなったのかなって…」
「笑そういうことね。だから最近勇斗元気がなかったのね。よしよし…ごめんね、寂しかったね」
そう言いながら俺の頭を撫でた。俺はその手を掴み自分の頬に当てる。久々に感じる手から伝わる温かみと、仁人の匂い。
「最近仁人も忙しいから、俺なんかに構ってる暇ないって思ってるんだけど…」
「うん」
「やっぱり寂しい…」
「そっか…ごめんね 」
「わがままだってことも十分分かってるんだけど」
「うん」
「もっと俺に構って…?」
俺がそう申し訳無さそうに伝えると、仁人は俺を愛おしそうに見つめた。
「全然わがままじゃないし、言ってくれてありがとう。もう遅いし一緒にベッド行こうか」
「ん、」
いつぶりだろうか。一緒にベッドに入ること、面と向き合って横になること。泣きたいわけじゃないのに、自分の思いが仁人に伝わり再び涙が零れる。そんな俺を仁人が優しく抱きしめてくれた。
「あ〜また泣いちゃって、目腫れちゃうよ?」
「仁人の匂い…安心する…」
「笑それはそれはよかったですよ。勇斗も人の事言えないくらい忙しいでしょ、日に日にやつれているように見えるし」
「それは、仁人が俺の事忘れたのかなって思って…余計に気分上がらなくて…」
「あ〜もう、本当に可愛い。こんな可愛い勇斗のこと冷めることも忘れることもないよ。寂しい思いさせてたんだね、ごめんね」
ベッドの上で横になっていると仁人の体温と声でだんだんと目蓋が重くなる。せっかく仁人が目の前にいるのに…
(あぁだめだ…目蓋が重い)
結局俺はそのまま眠りについた。
「勇斗寝た…?笑お仕事お疲れ様。ちゃんと伝えてくれて嬉しかったよ」
ほんとに俺の勇斗は可愛い。たまには勇斗から甘えて欲しいんだけど、本人は恥ずかしがってなかなかこないから、少し距離を置いてみた。すると案の定寂しかったらしく、ちゃんと思いを伝えてくれた。どうやら俺の作戦は成功っぽい。隣で安心しきった様子でスヤスヤと眠る勇斗をみて笑みが溢れる。
「おやすみのキスはちゃんとしてるんだけどね、勇斗が寝てる時にだけど …俺も眠くなってきたし、そろそろ寝るかぁ…おやすみ勇斗」
そして俺はいつもの日課である"おやすみのキス"をして眠りについた。
end.
コメント
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😭😭😭😭😭😭😭 最高です!