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情報提供者は佐久間が住んでいたマンションの管理人からだった
佐久間の失踪が公式に発表されてから、住んでいたマンションにも報道陣が現れるようになり、近隣住民に迷惑がかかる事から直美さんが退去を決めた
荷物は全て保管してあると言う
「あの子の宝物を扱うのが一番神経つかったわ。少しでも汚したり、壊したりなんかしたら、帰ってきた時に物凄く怒りそうでしょ」
なんて、寂しそうに笑っていたのを思い出す
宝物=嫁である
満足のいく配置に飾ってあるから、大切に保管しているとは言え、ムッしそうだ
たまに見せる目の据わった佐久間を思い出して、俺は少しだけ笑った
そんな退去したマンションの管理人から連絡があった
ニュースに出る度に情報を呼び掛ける俺の姿に感化されたと言う
例え手掛かりがなくとも反響があるだけ嬉しい
しかも、少なからず佐久間と関係のあった人からの情報提供だ
「関係ないってなったんだけどね
必死な阿部さん見てたら、実際に見たいんじゃないかと思ってさ」
定年退職後の仕事として管理人を始めて5年になると言うその人は、佐久間と連絡が取れなくなったその日にも仕事に出ていた
本来なら警察などの要請がないと住居者のいる部屋の解錠は出来ないというが、マネージャーに懇願され、マネージャーの身分証を確かめ、事務所の方にも確認を取ってから自分が立ち会う事で了承したという
その際もスマホのカメラでマネージャーがおかしな動きをしないか、撮っていたと言うから、かなり慎重なタイプである
俺に見せたかったのは、佐久間に連絡が取れなくなった日の前日からの監視カメラの映像だそうだ
映像は警察官と一緒に直美さんも確認し、コピーも渡したと言う
カメラ映像の保管期限が切れ、廃棄する事になったため、声をかけてくれたのだ
「ありがとうございます」
直美さんが見て確認したのなら、不審者などは映っていなかったんだろうが見てみたいと思った
前日の19時ぐらいに
佐久間が住んでる階の防犯カメラに佐久間と思われる人物が映った
黒のダウンジャケットにデニムのワイドパンツ、ニット帽を被っているがピンクの襟足が覗いている
1度自宅に入り、約2時間後に出てきた
格好は同じである
手には部屋にあった鞄を持っていた
それだけでもう不自然さを感じているが、早送りで見せられたその後の映像に思考が停止した
「ご家族の話じゃ、最近連絡がないからとお兄さんに様子を見に行ってもらったんだと言っててね」
お兄さん?佐久間の?
そんなはずはない
確かにドラマの科学捜査のような鮮明さのない映像だが、分かる人には分かる
佐久間と同じような黒のダウンと黒のパンツ
目深に帽子を被り、ダウンの下に着ているパーカーまで被っている人物
大きな紙袋をぶら下げ、まるで住人のような足取りで佐久間の自宅に向かうと鍵を使って中に入って行った
明かに佐久間とは縦の大きさが違う
ダウンを着ていてもスタイルの良さはよく分かる
何年も一緒に過ごしてきたから
どんなに荒い画像でも分かるんだよ
めめ
無意識に奥歯を噛み締めた
直美さんも多分気付いてる
気付いていて、警察官に嘘を吐いたんだ
小説なんかでも
犯人は身近にいるもんなんだよね
この時のショックは計り知れない
全部知ってたのか
知ってて一緒にいたのか
持参した紙袋には佐久間の服が入っていたんだろう
何のために?
忽然と消えたように見せたかったから?
いや、佐久間自身が1度出ていく映像があるのだから、何もいじらない方が得策だろう
しかも、なんで猫たちを連れ去った?
佐久間の意思?
だから、直美さんは庇ったのか
佐久間とめめが協力して、この失踪事件を企てたと思ったから
やはり消えたいと、佐久間が望んでいると思ったから
映像を見ながら沈黙した俺を伺って
「やはり手掛かりにはならないですよね」
管理人さんが申し訳なさそうに言うのを聞いて、「いいえ」と首を振った
「佐久間の姿が見れて…嬉しかったです」
そう言うと管理人さんは同情するような優しい目をして、俺の背中を叩いた
「きっとね、見つかるよ」
「はい」
見つけたよ、佐久間
「俺も、そう思います」
迎えに行くから
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