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お母さんの味が思いを紡いでくれてる✨こんにゃく入り食べたことない!どんなんだろう⁉️ 皆んなで会うんだね。 お兄ちゃんの言う通りにしてればいいね😊 ぁあ〜なんか緊張してきたよ( '◠' ; )ゴクリ
私たちは冷しゃぶサラダを先に食べ終えて器をテーブルからシンクへ運ぶと、焼酎の準備をする。もちろんお湯割りだ。
「じゃあ…二次会突入、乾杯」
「かんぱーい」
「…うまい、2週間くらい飲んでないか?」
颯ちゃんは熱い焼酎にそっと口をつけたあと、きんぴらごぼうをお箸で掴む。
「こんにゃく入り、うまいな。うちには入っていない」
颯ちゃんがそう言った時、彼のスマホがメッセージを受信した。
いつもの食事中なら無視する颯ちゃんが
「おばちゃんかも」
そう言いメッセージを見る。
‘さっそく食べてくれてありがとう。写真も嬉しいです。彩りの良い冷しゃぶが今日のメインね’
「今、おばちゃんの美味しいおかずで焼酎飲んでる…と」
声に出してメッセージを送った颯ちゃんは、スマホを置くと私に聞いた。
「リョウはどれが好きなんだ?」
「どれも私の好きなものばかりなんだけど今日は…干し椎茸と、ししとうかな」
「わかる。うまい」
彼は椎茸を口に入れると、また鳴ったスマホを手にした。
‘お父さんと私も同じもので焼酎飲んでる。いい日です’
「二人、すげぇ飲んでそうだな」
「ふふっ…颯ちゃん、蒸し鶏を使ったレシピを私に送るように、お母さんに言っておいてくれる?」
「了解」
今日は颯ちゃんにお母さんへの連絡を任せてしまおう。
もう一度4種類のおかずをお皿に取った私の様子を、颯ちゃんがお母さんへ送っているとは知らなかった。
‘リョウが蒸し鶏を使ったレシピを送って欲しいって。今日は冷凍したから明日以降でいいよ’
‘リョウは今また全種類皿へ取った。うまそうに食ってる’
‘リョウもいろいろ作ってくれるんだよ。冷しゃぶサラダもうまかった’
「颯ちゃん、お湯足りる?もう一度沸かそうか?」
「いや、今日はこれでいい。明日もう一度飲む」
「まだまだおかずがあるものね」
6月のこの日以来、2、3週間に一度お母さんから冷蔵や冷凍で惣菜が送られてくる。
颯ちゃんは安定のカレー、シチュー、ハヤシライスを作り、私は簡単なご飯を作る。
夏が来れば簡単メニューに拍車がかかる。
それでも二人で朝食夕食を毎日一緒に食べるうちに好みや量がわかり、生活と気持ちが落ち着いた9月。
私はお兄ちゃんに、あるお願いをした。
颯ちゃんの隔週定休の日曜日に、私と颯ちゃんは初めてお兄ちゃんとチカさんの部屋へ来ている。チカさんは月に一度の日曜日の休みを合わせてくれた。
「お気遣いありがとう。あとで頂くね」
プリン好きのチカさんに人気店のプリンを買ってきた。
「ここのプリン、買うときにバーナーでキャラメルを焼いてくれたから今…早い方がカリカリが楽しめると思う」
「チカ、せっかくだし今食べれば?」
「うーん、もう来るんじゃない?」
チカさんがケーキ屋さんの箱を抱えて立ち止まったとき
ピンポーン………
「ほら、来た。皆で食べよう。良子ちゃん、珈琲入れるの手伝ってくれる?」
「うん」
きっとチカさんは、私が立っていられるように声を掛けてくれたんだ。
お兄ちゃんと颯ちゃんが玄関へ行き、私とチカさんは台所へ行った。
「広い…」
「無駄にね。大した料理はしないのよ」
チカさんの言うのは当然だろう。
帰りも遅い立ち仕事で、台所にまでゆっくりと立っていられないと思う。
そこへ
「こんにちはー」
「お邪魔するよ」
お母さんとお父さんの声がした。
先日私は……お兄ちゃんに、一緒にお母さんたちに会って欲しいとお願いしたのだ。
そこで私の意図を汲み取ったお兄ちゃんは
「良子は来るだけでいいからな。俺とチカと颯佑が喋るから」
すぐにそう言ってくれた。