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「凄く硬くなってるわね。可哀想に……」
パンパンになった私の脚を揉み解《ほぐ》しながら、悲し気な表情をさせる静香さん。
『今日は疲れたでしょ? 私がマッサージしてあげる』
先程、そう告げた静香さんに半ば強引にソファへと座らせられた私は、今、静香さんからマッサージを受けている。
元々、静香さんには少し過保護なところがある気がしてはいたが、流石にここまでしてもらうのには気が引ける。
「あの……っ。静香さん、本当に大丈夫ですから……」
「ダメよ。浮腫みは放っておくと、どんどん硬くなるんだから」
制する為に伸ばした私の手をそっと退けた静香さんは、そのまま私をソファの上で優しく倒すとうつ伏せにした。
「浮腫みは、その日の内に取っておかないとね」
そう言って私の脚を揉み解す静香さん。
(ここまでしてもらって、本当にいいのかな……)
そうは言っても、先程から静香さんがしてくれるマッサージはとても気持ちが良く、バイトの疲れもあるせいか、何だか急激に睡魔が襲ってきた。
私はソファの上でうつ伏せになりながら、その心地良さにウトウトとし始めた。
———!?
突然のヌルッとした生暖かい感触に驚き、手放しかけていた意識が一気に覚醒する。
(っ、……え? 今、舐められ……た?)
驚きに固まったままでいると、その後何事もなく五分程でマッサージは終わった。
ゆっくりと私から離れる静香さん。その気配を感じ、私はうつ伏せから起き上がるとソファへと座り直した。
「……どう? 少しは、軽くなったかしら?」
私の顔を覗き込んで、優しく微笑む静香さん。
「あ……、はい」
「良かった」
フフッと微笑む静香さんを見て、さっきのは一体何だったのかと、一瞬そんな疑問が頭を過ぎる。
「……真紀ちゃん、どうかした?」
不思議そうな顔をして私を見つめる静香さん。その姿を見ると、やはりさっきのは私の勘違いだったのだと、なんだかそう思えてくる。
(あの時、突然の睡魔に襲われて半分寝かけてたし……。きっと、寝ぼけてたんだよね)
そう思って、自分に言い聞かせる。
「……いえ、ありがとうございました。とても気持ち良かったです」
「湯船に浸かると、疲れも取れるわよ。ゆっくり入ってらっしゃい」
私を見てニコリと微笑んだ静香さんは、「私は先に休ませてもらうわね。おやすみ、真紀ちゃん」と告げるとリビングを後にした。
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