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そして、花火大会の日。
私は公園で千秋くんを待っていた。
明らかに集合時間を過ぎている….。
忘れているのだろうか。
「もう待てない…..帰ろ..」
そう言いながら私は帰ろうとした。
だが、グイッと私の腕を誰かが引っ張った。
「わッ」
私は驚いて情けない声を出してしまった。
「ごめん!!遅れた…」
私の腕を引っ張った人物は千秋くんだった。
「渡したい物があるから着いてきて。」
渡したい物?
それより、花火大会はどうするのだろう。
私が不思議な顔をしていると、
千秋くんはそれに気がついたのか
「あ、安心して。花火は俺の秘密の場所で見るから!!」
と言った。
秘密の場所…。
何故だか少しだけ、わくわくした気がした。
数分後、千秋くんがおすすめする
“ 秘密の場所 ” に着いた。
その場所は周りが紅葉に包まれていて、
小さな丘から街の灯りを眺めることが出来る。
とても綺麗な場所だった。
「綺麗だろ?」
「めっちゃ綺麗!!」
「良かった!!」
そう言いながら千秋くんは
白い歯を見せながら笑った。
「あと、渡したい物がこれなんだけど…」
そう言って千秋くんは私に封筒を渡してきた。
中に入っていたのは
私のお母さんが映っている
だった。
「え、?なんでこれ千秋くんが…?」
「….花火の母親はさ川で溺れてた男の子を
助けて身代わりになったんだよな?」
「なんで知ってるの…?」
何故、あの事故のことを
千秋くんが知っているのだろうか。
「まさか…」
「うん…そのまさかだよ。あの時、川で溺れてた男の子は俺のことだ。」
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ!!
私は心の中で、千秋くんは悪くない。
お母さんは人助けをしただけだ。
そう言い聞かせ、
千秋くんを悪者にしないようにした。
だが、
「千秋くんのせいだ!!私のママを返して!!」
考えより行動の方が早かった。
だんだん視界が歪んでくる。
私は泣きながらも怒っていた。
「ママじゃなくて千秋くんが居なければ私は幸せだったのに!!」