休憩を2回ほど入れて。
合計で約1時間ちょっと登ったところで。
他から登ってくる登山道と合流した。
「お疲れ。これで今日一番やばい天神尾根の登りは終了。ここからは大蔵尾根で、ちょっとだけ緩くなる。景色もどんどん良くなるぞ。という事で、疲れた身体にご褒美だ」
先輩がザックを下ろして、中からタッパーを取り出す。
さらにそのタッパーの中から、氷水に漬かったジップロックの袋を取り出して。
小さい四角い食器に、ジップロックの中に入っていた白い物を移して。
それをスプーンでかき混ぜた。
「うむ、予定通りの完成度だ。そんな訳で疲労回復の特効薬。まずは身長ハンデで一番大変な彩香から」
石の上にぺたんと座り込んだ彩香さんが、スプーン入り食器を受け取る。
「これは……アイスだ!」
「そう、砕いた野遊び部特製ミックスナッツ入りのアイスクリーム。私の手作りだから、無茶苦茶濃くて美味しいはずだ」
「すっごく美味しい!」
何か本当に美味しそうだ。
彩香さんはちょっと食べて、食器を亜里砂さんに回す。
「何か市販品よりもリッチでおいしいのだ」
「そりゃそうだ。コスト度外視の手作りだからな。まあ自作だから、コスト度外視と言っても高級アイスより量の割には安いけれどさ」
美洋さん、未亜さんと回って僕の番。
女子4人と間接ディープキッスとか思ってはいけない。
実はもう、そんな事を気にする余裕が無い程度に僕も疲れている。
スプーンを口に運ぶ。
あ、確かに先輩が自慢するだけある。
濃くて美味しいし、色々しっかり混ぜてある。
「ミックスナッツだけでなく、クッキー&クランチっぽくもなっていますね」
「ああ。このために団栗クッキーを焼いて、潰して混ぜ込んだ」
場所と状況もあるのだろうけれど、強烈に美味しい。
他の人の目が無ければ、全部かっ込んでしまいそうだ。
目の前に置いておくと食べ切りそうなので、先輩にパス。
「うん、予定通りの味だ。そんな訳で最後は先生」
「これは本当に美味しいですね。甘さが身体の中に浸みていく感じがします」
「ちなみにアイスの第2弾もセットしたからな。出来るまで約1時間。乞うご期待」
マメというか、なんというか……。
「こういう高級アイスみたいなものも作れるのですね」
「種明かしすると簡単。生クリームと卵と砂糖を混ぜて冷やすだけ。後は香りをつけたり、クッキーやナッツを入れたり。そんな材料をビニルパックに入れて、塩と氷入りのタッパーで冷やしながらザックの中へ。ザックの中で程良く揺すられて混ざって冷えて、1時間くらいで完成する訳だ」
しかし先輩、本当に色々な事を知っているしマメだなあ。
僕とたった1年しか違わないはずだけれども。
「さて、身体が冷えないうちに動きますよ。今の川俣さんのアイスで、疲れも取れたでしょうし」
「了解でーす」
彩香さんも立ち上がって、ザックを背負う。






