昨日の放課後から、なんだか陽翔との距離が急に縮まった気がする。勉強のことを話してたはずなのに、なぜかいつもと違う雰囲気だったし、私もなんだかドキドキしている自分に気づいた。
今日もいつものように、リリカと一緒に登校した。リリカは私の親友で、いつも私の悩みや気になることに超超超敏感。ダイキや陽翔のことだって、すぐに気づいてしまう。
「ヒメ、昨日陽翔となんかあったでしょ?」
リリカが早速切り出した。私が何も言わなくてもさ、リリカはすぐに察するから困るんだよね。
「え、別に何も…」
私はなるべく普通の顔をしようとしたけど、リリカは顔を見ればすぐに分かるって感じで笑った。
「うーん、ヒメの顔がちょっと赤いよ?絶対何かあったでしょ?」
リリカが言うと、私は思わず顔を逸らしてしまった。
「いや、ほんとに何もないってば!」
そう言っても、リリカはニヤニヤしているだけで、余計に怪しく感じる。
「ふーん、陽翔、ヒメのこと気にしてるんじゃない?見た感じ、普通じゃなかったよ。あんな風に見つめられること、滅多にないでしょ?」
リリカが続ける。
「え、そんなことないよ」
私は思わず否定したけど、心の中ではリリカの言う通りかも…ってちょっと思ってしまった。
放課後、陽翔がいつものように図書室で勉強しているところを見かけた。今日はなんだか、陽翔の横に座ってもいいかもって思えてきて、少しだけ勇気を出して近づいてみた。
「陽翔、今日も勉強してるの?」
私はちょっと緊張しながら声をかけた。陽翔はいつも無愛想に見えるけど、今日はちょっと違った。
「おう、ヒメも勉強しに来たのか?」
陽翔がこっちを見ながら、ちょっとだけ笑った。いつもと違うその笑顔に、私の心臓がドキッとした。
「うん、ちょっと数学の問題がわかんなくて」
私は話しやすくなったような気がして、つい長く話をしてしまった。陽翔も真剣に教えてくれて、なんだかすごく素直な彼の姿を見たような気がした。
「ああ、ここ。こうやって解く」
陽翔が指で示しながら説明してくれる。その時、私はなんだか恥ずかしくて顔を赤くした。
「ありがと、陽翔…」
つい、素直に言った言葉が耳に残る。
その瞬間、リリカが突然図書室に入ってきた。陽翔と私の距離を一瞬で察したリリカが、ニヤリとした顔で近づいてきた。
「おーおー、陽翔と急接近してるじゃん、ヒメ」
リリカは二人の間に割って入ってきて、目をキラキラさせながら言った。
「え、ちょっとリリカ…」
私は顔を赤くして、リリカに軽く肩を押し返した。
「何か気になることがあったんでしょ?陽翔のこと、ヒメ、気になるんでしょ?」
リリカが陽翔を見て、少しからかうように言った。陽翔は、そんなリリカの態度に少し戸惑った顔をしたけれど、私はますます恥ずかしくなった。
「そんなことないよ!」
私は即答したけど、リリカは満足げに笑っていた。
陽翔は何も言わず、静かに問題集に目を戻していた。その様子を見て、私は少し安心したけど、同時に心の中で何かがモヤモヤしているのも感じた。
その日、帰り道でリリカに言われた。
「ヒメ、これから陽翔との距離縮めるチャンスかもよ。あんな風に優しく教えてくれるなんて、そうそうないよ!」
リリカの言葉に、私はふわっと気持ちが膨らんでいくのを感じた。でも、まだ何も決められない。陽翔が私のことをどう思っているのか、わからないから。
一歩踏み出す勇気が持てるか、それとも今のままでいるべきか…。私はその夜、ベッドの中でぐるぐると考えながら眠りについた。
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