陽翔との距離が少し縮まったように感じた昨日。
放課後、リリカに誘われて一緒に校舎裏の桜の木の下でおしゃべりしていたら、ちょうどダイキが通りかかった。彼は部活帰りらしく、ジャージ姿でタオルを首にかけている。
「ヒメ!」
ダイキが大きな声で私を呼ぶ。リリカがすかさず私の方をニヤリと見た。
「お、ヒメモテモテじゃん?昨日は陽翔、今日はダイキ。忙しいねぇ」
リリカはからかうように言ったけど、私は笑ってごまかした。
「ダイキ、何か用?」
私は立ち上がって彼の方へ向かうと、ダイキは軽く息を整えながら、笑顔で言った。
「ちょっとさ、相談したいことがあって。いい?」
その声はいつもより少し真剣で、私は驚いて頷いた。
「じゃあ、行こうぜ」
ダイキが私の腕を軽く引っ張る。リリカは「お邪魔虫は退散しまーす」と言って、私たちを見送った。
校舎裏を抜けて中庭のベンチに座ると、ダイキが少し言いにくそうに話し始めた。
「実はさ、クラスでちょっと悩んでることがあって…」
ダイキが視線を落としながら言った。その表情がいつもと違って、私は心配になった。
「悩み?珍しいね。ダイキがそんな顔するなんて」
私が軽く笑いながら言うと、ダイキは苦笑いした。
「いや、俺だって色々考えることあるんだよ。まぁ、簡単に言うと…最近、陽翔のこと気にしすぎちゃってさ」
その言葉に、私はドキッとした。
「陽翔?」
聞き返すと、ダイキは少しだけ照れくさそうに笑った。
「ヒメさ、最近陽翔とよく話してるよな。まぁ、なんつーか…それ見てると、俺、どうしていいかわかんなくなるんだよな」
ダイキの言葉に、私は一瞬息を飲んだ。今までそんなこと言われたことなかったから、どう答えればいいかわからなかった。
「はぁ…?」
「いや、別に責めてるわけじゃないよ。ただ…なんか俺、ずっとヒメのこと見てきたからさ、最近ちょっと焦ってんのかも」
ダイキがポツリと呟く。
…………?何いってんのこの人は…?
でもその言葉に、私は胸が締め付けられるような気持ちになった。ダイキがこんなに真剣な顔で私に何かを伝えようとするのは初めてだった。
「ダイキ…」
私は何か言おうとしたけど、言葉が出てこない。
「いや、別に変な意味じゃないからさ。ただ、俺にとってヒメは特別なんだよって、そう伝えたかっただけ。だから、陽翔とうまくいくなら、それはそれで応援するけどさ」
ダイキのその言葉は、まっすぐで、どこか切なさも感じさせた。 特別…?とは?
「でも、もし…俺にもチャンスがあるなら、ヒメのこと、もっとちゃんと知りたいなって思ってる」
ダイキの言葉に、私は胸がいっぱいになった。幼馴染としてずっと一緒にいたけど、こんな風に気持ちを伝えられる日が来るなんて、思ってもみなかった。
「ダイキ…ありがとう。でも、私もまだ自分の気持ちがよくわからなくて…」
私は正直に答えた。
「そっか。まぁ、焦るつもりはないからさ。ただ、俺の気持ちは伝えたかったんだ。それだけ」
ダイキが笑顔で言ってくれて、私は少しホッとした。
その後、私たちはいつものように他愛ない話をして帰ったけど、心の中ではダイキの言葉がずっと響いていた。
**大輝との距離が少し縮まった気がする。だけど、陽翔のことも気になる…。私はこの先、どうしたらいいんだろう?**
次の日、学校で陽翔と顔を合わせたとき、私はどこか意識してしまい、うまく話せなかった。それを察したリリカは「ヒメ、三角関係の始まりだね」なんて楽しそうに言っていたけど、私は全然楽しめない。 三角でもないと思いますよ、リリカさん
頭脳戦どころか、恋愛は感情が複雑すぎて、全然攻略法がわからない。
それでも、私は少しずつ、進んでいくしかないんだろうな。…(´Д`)ハァ…
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