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“ガサガサ”
ユキちゃんは恐らく、私の乳房や顔に掛かった精液を、ティッシュで拭き取っているのだろう。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
拭き取りながらユキちゃんの嗚咽が聞こえる。
辛い――ユキちゃんが自分を責めているのが辛い。
私は起きて『大丈夫だよ』と、ユキちゃんを抱き締めては駄目なの?
不意に――私の唇が塞がれた。
この感触は……ユキちゃんの唇?
私の唇に残っていた精液を、ユキちゃんはティッシュではなく、その唇で舐めとっていたのだ。
それは駄目だよユキちゃん――。
私がユキちゃんのを舐める分はいい。だけどユキちゃんは自分で自分のは駄目。
だけど――ユキちゃんが私の唇に、唇を合わせている。
これて……キスになるのかな?
私のファーストキス。
きっとユキちゃんもファーストキスの筈だ。
夢中で私の唇を吸い続けるユキちゃんに、私は溢れる喜びで一杯だった。
ユキちゃんの初めての射精も私。ユキちゃんのファーストキスも私。
ユキちゃんはきっと、意味が分からないと思う。
でも私は何であれ、ユキちゃんの“初めて”は全部私が――。
暫くしてから唇と唇が離れた。
その疎外感に私は、次は絶対に私から――と決意を固める。
でも今は駄目だ。
ユキちゃんにとって私は、あくまで寝ている状態。
「ごめんなさい……」
床に着いたのだろう。隣にユキちゃんを感じる。
それでもユキちゃんは謝り続けていた。
「う~ん……」
私は寝返りを打つフリをして、隣のユキちゃんをこの胸に抱き寄せていた。
離さないようにしっかりと。
「――っ!」
ビクンと身体を震わせるユキちゃん。
“大丈夫だから”
言葉には出さなくても、その意図が伝わって欲しい。
私の乳首は、ユキちゃんの口元にある筈。
“気付いてユキちゃん”
「うぅ……」
嗚咽。その後、乳首に伝わる咥内の感触。
良かった。私の意図に気付いてくれた。
ユキちゃんは再び、私の乳首を吸い始めてくれたのだ。
勿論、その感触が気持ち良いのもあるけど、これはユキちゃんを落ち着かせ、安心させる為。
“グスッ”
嗚咽から泣いているのが分かる。
――しばらく吸い続けた後、ユキちゃんはそのまま眠っていた。
続いていた嗚咽が無くなり、眠りに入ったと確信した私は、ようやく目を開ける。
あどけなく乳首を吸い続けて眠っているユキちゃんの目尻には、涙の跡が――
“辛かったね、ごめんねユキちゃん……”
私はユキちゃんのお姉ちゃん失格だ。
愛する弟をこんなに悲しませてしまった姉は、私位だろう。
朝起きたら、何時も通り『おはようユキちゃん』と、笑顔で声を掛けよう。
それが寝たフリをしていた、私のユキちゃんへの償い。
「大好きだからね……ユキちゃん――」
私は愛しい弟の咥内に包まれながら、心地好い眠りに落ちていった――
…