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#そのじん
笑う門には福来る
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#nmnm注意
nanana

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張りつめた空気の中、誰も次の言葉を見つけられなかった。
その沈黙を破ったのは、柔太郎だった。
「……ハヤちゃん」
穏やかな声だった。
責める響きはない。
ただ、純粋な驚きが滲んでいた。
「そこまで大切な人がいたんだ」
少し間を置いて、柔太郎は続ける。
「俺たち、誰も気付かなかった」
勇斗は静かに目を伏せた。
「……うん」
少しだけ考えるような間があってから、小さく笑う。
「気付かれないようにしてたから」
「なんで?」
柔太郎の問いに、勇斗は少しだけ考えた。
「……守りたかったからかな」
舜太が顔を上げる。
勇斗は自分の手元を見たまま、ゆっくりと言葉を続けた。
「俺と付き合ってるって知られたら、あいつまで巻き込むことになるだろ」
「誰と付き合ってるとか」
「どこで会ってるとか」
「今までなら見られなかったところまで、見られるようになるかもしれない」
淡々とした声だった。
けれど。
それが今日初めて考えたことではないのだと、誰にでも分かった。
「俺とのことまで、あいつに背負わせたくなかった」
「俺のせいで、何かを我慢することが増えるのも」
「傷つくのも」
一度、言葉が止まる。
「……嫌だった」
柔太郎は黙って勇斗を見つめていた。
「もちろん、M!LKのみんなに迷惑をかけたくないっていうのもあったよ」
「メンバーにも、スタッフにも、ファンにも気を遣わせたくなかった」
「だから、仕事と恋愛は絶対に分けるって決めてた」
勇斗が少しだけ笑う。
「隠すのは、別に苦じゃなかった」
「それであいつが今まで通り笑っていられるなら、その方がよかったから」
誰も何も言わなかった。
大智は、目の前にいる勇斗を見つめていた。
恋人がいることに驚いたんじゃない。
こんなふうに。
自分のことより先に、誰かが傷つかないことを考えている勇斗を初めて見た。
「……そんなに好きなん?」
思わず、大智が聞いた。
勇斗は顔を上げた。
少しだけ困ったように笑う。
けれど。
「うん」
答えに迷いはなかった。
「大事だよ」
短い言葉だった。
それなのに。
今までのどんな言葉より、その人を想っていることが伝わった。
勇斗は一度目を伏せる。
「M!LKは、俺の人生だよ」
「それは変わらない」
そして、静かに続けた。
「でも、あいつにも幸せでいてほしい」
少しだけ間を置く。
「俺と付き合ったことで、それまで背負わなくてよかったものまで背負わせるのは嫌なんだ」
仁人の指先が、わずかに震えた。
勇斗は気付かない。
「だから……今回のことで、俺が責任を取るのはいい」
「俺が怒られるのも、批判されるのも、処分を受けるのもいい」
そこで、声が少しだけ低くなった。
「でも、その責任をあいつに取らせるみたいに、別れるのは嫌なんだ」
仁人が息を止めた。
「何もしてないから」
勇斗は静かに言った。
「あいつは、何も悪くない」
その声に迷いはなかった。
「俺が切り忘れた」
「俺がミスした」
「なのに、そのせいで俺があいつの手を離したら……」
一度、言葉を飲み込む。
「それは違うと思う」
部屋は静まり返っていた。
「だから、手放せない」
「M!LKも大事」
「あいつも大事」
「どっちも守りたい」
少しだけ唇を噛み締める。
「……わがままなのは分かってる」
それでも。
勇斗はもう一度、はっきりと言った。
「でも、俺のミスを、あいつを手放す理由にはしたくない」
その言葉に。
仁人は、もう顔を上げることができなかった。
コメント
1件
うわあ、この第6話、すごく重くて丁寧な心情描写でしたね……。勇斗が「自分がミスしたからって、そのせいであいつを手放すのは違う」って言い切ったところ、胸に来ました。自分のことより相手を守る優先順位が、一言一言に滲んでて。仁人が顔を上げられなかったラスト、すごく効いてる。このメンバーでどういう決着を迎えるのか、すごく気になります。