テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

3.はなれない

登場人物


時透無一郎 霞柱、記憶が無い


琴織星夏 星柱(命柱)、触覚が無い


あまね様 お館様の奥様


胡蝶しのぶ 蟲柱、星夏の任務でお世話になる


_________________



きみもぼくと同じなの?

ある時大事ななにかが消えた。ぼくもきみと会ってからなにかがわかってきた。


きみと一緒にれれば、


記憶も思い出せるのかな…


_________________


昨日の稽古から一夜明けた。


時透さん「記憶、取り戻せるかな」


今日も鍛錬を終え、ちょうど二人で休息しているとき、日に照らされた時透さんは空を見上げていた。そよ風に長い髪が揺れていた。


私「きっと大丈夫です。時透さんなら取り戻せますよ」


時透さん「鬼に襲われたのは知ってるんだけど」


私「そうなんですか…私も___…


…なんでもないです」


とっさに昔のことを話そうとすると、恐怖で血の気が引いてきた。私はそれ以上自分のことを話すのをやめた。


時透さん「…」


無駄に心配をかけてしまったかな?


時透さん「きみの屋敷ができても、しばらく一緒にいたい」


しばらくして突然時透さんは口を開いた。


私「えっ?はい?」


無一郎「君といるとなんだか気分がいいから、記憶も思い出せるかもしれないし」


いつもの口調で時透さんはいった。


時透さん「…わかり、まし、た…(?)」


戸惑いながらも了承してしまった。

でもそれに人の役に立てるならそれでいいと思った。


時透さんの“一緒にいる“の意味がわかるまでは




それからも私は時透さんと一緒に過ごしていた。一ヶ月もすると、時透さんとの生活自体には慣れていきたが…


時透さん「ねえ一緒に紙飛行機作ろうよ」


時透さん「ねえ誰に手紙書いてるの?みせて?」


時透さん「ちょっとまだ部屋に戻らないで」


あまりにも一緒に行動しようとするので、私はほとんどの時間、時透さんと行動を共にしている。これは少し困る…


私「時透さんはどうしてそんな私といるんですか?時間の無駄じゃ…?」


時透さん「記憶を思い出せるかもしれないなら一緒にいるまでだから。確かめなきゃいけないからね。ある程度は我慢して」


初めて会ったときは私のことなんてのがどうでもよさそうだったのに、気づけば記憶を取り戻すという目的を達成するための執念でとにかく私と行動を共にしていた。


仲良くはしたいし、役には立ちたいけれど、ここまで一緒だとなんだか気が滅入ってしまう。それに最低限の用事でない限り一人で外に出させてくれない。


時透さん「え?今日は独りで買い物したい?だめだよ、ここにいて」


私「は、はい💦」


隊律よ なんとかしてください…ほとんどの時間は鍛錬で、自分の技術は上がるしなんやかんやで一緒は楽しいけど…苦痛って分けではないけど…さすがに彼といる時間が多すぎる気がして…

おかしいのは、いままで一緒に任務をするのはしのぶさんだったのに、時透さんに急に変わったことだ。任務までも一緒になっている。不審に思ってあるときお館様との会談の後に会ったあまねさまに聞いてみることにした。


あまね様「時透様が胡蝶さまに変わり、あなたさまを連れて任務に行きたいという要望がカラスから届いたのでそのようにいたしました。私も不思議に思っていましたが…」


私「?」


あまね様「きっと時透さまはあなたを信頼しているから、こんなことを書いたんでしょうね。こういう願いをあの方はすることがないと思ったので正直驚きました…なので私の独断で極力付き合ってほしかったのもあります。」


あまね様がにこっと笑うのを見たのは初めてだった


それを聞いて彼の気持ちが痛いほど伝わってきた。鬼を倒すという消えない怒り以外なにも残っていない、心の穴を埋めたい…。


そうか、時透さんは…寂しかったんだな


どうして私といると記憶を取り戻せそうなのかはわからないが、少しでも彼を助けたいと思った。時透さんは自分から一人になってしまいやすいけど…孤独は感じていたんだろう。


あまね様「星夏さん、あなたもなにか変わってきているのでは?人といるのを怖がらず、深く関われるようになってきた。それは素晴らしい成長です。自分をちゃんと褒めてあげてください。改めて、この件はよろしくお願いします」


私「…こちらこそ、ありがとうございます。あまね様(深く礼をする)」


確かに時透さんと一緒にいるようになってから、人と関わるときの恐怖がなくなった気がする。安心感というものなのだろうか。


そう考えてお屋敷にもどると、時透さんは玄関でまっていた。相変わらず執念がすごい…。でも面白おかしくてクスッと笑ってしまった。


時透さん「ねえ、なんで笑ってるの?まあいいや、ふろふきダイコンの売ってるお店連れてって」


私「時透さんの方がここら辺の店には詳しいのでは…?」


時透さん「…いいから」


そう私の背中を押してふろふきダイコンを売っているお店へ連れ出される。ちょっと困るけれど、やっぱり彼と一緒にいると楽しいし、彼の役に少しでも立てているのかと思うとすごく嬉しかった。あまね様と話してから、時透さんと過ごすときの違和感はなくなった。ただやっぱり一人で外に出させてくれないけど…


そしてお店へついて、二人で大根を食べていると__


しのぶさん「あら星夏さん、時透さん~。二人も来ていたんですね」


しのぶさんがなんとこのお店に来ていて、話かけてくれた。


私「しのぶさん!ご無沙汰しております✨前に任務をご一緒していただきありがとうございました(≧▽≦)」


しのぶさん「いえいえ~、そういえばお館様からのお話、お二人は聞きましたか?」


時透さん「?なんのことですか?」


しのぶさん「柱同士の交流を深めるためにもと、星夏さんとの共同任務作戦を交代方式にするそうですよ。お二人にも手紙が届いていると思います」


私「え!?それって一定期間ずつ柱全員のみなさんと任務ができるということですか?」


それはとっても楽しみだなぁ。返ったら手紙確認しよう。


しのぶさん「はい。私も人との関わりは大事にしたいので、いいなと思ってます。あ、もう時間ですので私はまた😊」


私「はい!お気を付けて(<(_ _)>)」


時透さん「…」


そんなことになってたんだ…。やっぱり手紙は早めに見ておくべきだよね💦

ということは時透さんとの任務は一端お預けかな?数週間もずっと一緒だしまた変わる気がする。次は誰になるんだろう?詳細を見ないと…__


時透さん「せっかくきみと一緒にいられると思ったのに」


私「…そんな言い方しないですださい。それ以外はほとんど同じ行動してますし、なんだか照れます」


時透さんが私といる目的は記憶を取り戻すためっていうのは分かっている。でも率直に言われてしまうとなんがか心臓がどきどきする…


時透さん「まあしょうが無いよね、あっそれと思ったんだけど_」


私「何でしょうか?」


時透さん「きみ、肌の感覚ないでしょ、それどころか、体内の感覚もほとんどない」


そう思ったらいきなり時透さんがこんなことを言い出した。


ごほごほっ!


私「ふぇ!?なんで!?っていうかどうして分かるんです!?」


ダイコンでむせそうになった。


時透さん「みて数日でそうだって確信した。様子でわかるよそんなの」


私「…」

たった数日でわかってしまったんだ。見抜けない人には見抜けないのに。なんて観察力、洞察力、対応力…こんなすぐに見破るなんてやっぱり___


私「時透さんはすごいです」


呟くように口に出てしまった。


時透さん「なに?いきなり」


彼もまた大事なものを失っい血を吐くような努力したのは私だって様子でわかる。努力関しては私もまあ頑張ったつもりだが、悲しみ、苦しみも入り混じりきっと彼のようにまっすぐ、自分に鞭うって生きられなかったと思う。


時透さん「…ぼくには11歳前までの記憶がないけど、体は鬼への強い憎しみを覚えている。だからいまも鍛錬する。記憶を取り戻すためにも。」


私「そうなの…ですか…」


きっと悲しいことがいっぱいあったんだろうな。辛かったんだろうな。何度聞いても彼の話を聞くと、涙が出そうになる。


時透さん「でも、最近は君と修行がすることに何かを得ている気がする。

なんでだろう…君と一緒にいると、なんだか穏やかみたい。」


私「それは、無一郎さんも心の奥の奥では寂しかったのではないですか?私も、寂しいです。大事な人を失って…。」


この時、昔のことを口にしてもなぜか恐怖がでなかった。ただただ二人とも切なかった。



時透さん「…僕たち、似てるのかな」


彼は下を向いて呟いた。



私「え?そうですか?」



時透さん「どうだろうね」



その__後何も話さずに時透さんの屋敷へ帰った。


夜、布団で眠ろうとすると時透さんの美味しそうにダイコンを食べている姿が浮かんだ。微笑ましくて、またにこっとわらった。思えば時透さんと出会ってから人と向き合うとができるようになった。最近、ずっと一緒だからか時透さんのことばかり思い浮かんでしまう…


ありがとう時透さん
















loading

この作品はいかがでしたか?

737

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚