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第二章 ー壊れた歯車ー
冤罪は晴れた。
記録も、証拠も、全てが鬱先生の無実を示していた。
けれど――それでも。
「あんた、どこまで信じとったん?」
休憩室。
ショッピの問いに、鬱先生は少しだけ考えてから、答えた。
「……最後まで信じてたのは、お前だけやったな」
ショッピは無言で、カップに注いだ紅茶を押し出した。
熱いそれが、どこかしょっぱく感じたのは、気のせいか。
⸻
数日後 ― 廊下
「……なあ」
声をかけてきたのは、コネシマだった。
「俺、あん時、“証拠ないなら仕方ない”って言うたん、覚えとる?」
鬱先生は返事をしなかった。
でも、立ち止まって聞いていた。
「……あの言葉、今でも、後悔してるねん」
鬱先生はようやく口を開いた。
「……俺の名前、叫んで助けてくれたわけでも、かばってくれたわけでもないけど――
……謝るって言ってくれるなら、それでいい」
それだけ言って、背中を向ける。
許したわけじゃない。
でも、否定するほど冷たくもなれなかった。
大先生は心壊れてるだけで心が無いわけでは無いですもんね。