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🤍side
🤍「おはよぉ、仁ちゃん。」
仁ちゃんと二人きりになれる特別な朝。
今日はやけに早くいるんだなぁ、って呑気なことを思う。
💛「………元気になったんだな。」
不自然な間に、外を眺める姿は何処か寂しげだった。
結局、俺は昨日体調が戻らず大事をとって休んだ。
ヒート中みたいにめちゃくちゃ体調が悪かったと言うまでもないが、
身体は重くて日常に支障が出そうだったため念の為。
休んでる間も仁ちゃん、大丈夫かなってずっと心配して。
一人でやっていけるかなぁ、とか。
でも太智くんいるから心配ないかなぁ、とか。
だから、お見舞いに2人で来てくれた時は安心したし嬉しかった。
でもそれと同時に、
学校で何かあったんだろう、っていう空気感は話してて察した。
現に今だって仁ちゃんは何処か上の空でこちらに耳を傾けているようで聞いていない感じがする。
絶対何かあった。
🤍「仁ちゃん、昨日はありがとね。嬉しかった。」
💛「………………ぇ、あぁ、。どうって事ないけど。元気になって良かった。」
本人的には隠した気になってるのかな、
全くもって隠せてないけど、?
目だって合わせてくれないし、返事も中途半端だし。
…なんか、前の仁ちゃんに戻ったみたい、
仲良くなる前の誰にでも壁を作って引き寄せないような、
何処か1歩引いて周りに深入りしない感じ。
🤍「あ、昨日家に持ってきてくれたお菓子。結構美味しかったよ?、仁ちゃんってやっぱりセンスいいよね〜、」
なんて適当な会話を試みるも、
💛「……………あぁ、良かった。」
から返事で返されて会話する気を感じない。
てか話したくない感じ?、これ。
キャッチボールするどころか俺が一方的に投げてぶつけてるみたいだ。
掴みどころが無さすぎてお手上げになりそう。
……もういっその事聞くか?、
🤍「……仁ちゃん、前の席座るね。」
隣の席から前の席へ。
椅子を回転させて、とりあえず迎え合わせにする。
その時でさえも顔は暗く何かを抑えているようにも見えた。
なんと声をかけるべきか。
聞いてやろうって思ったのは良いものの、結局肝心な聞き方までは考えてもない。
完全にただの直感で動いただけ、だけど…
🤍「じーんちゃん、」
そんな暗い顔されたら、こっちだっていても経っても居られないのが普通でしょ?、
俺たちはいつもそうだったから。
🤍「そんな暗い顔してどーしたの?、太智くんとなんかあった?、」
簡単にまぁ隠さずどストレートに玉を投げるが
💛「…………。」
無言の一点張り。
せめて、返事ぐらいはしてよ、、
でも、この反応、
……太智くんでもないのなら、
🤍「……勇斗先輩となんかあったんだ?、」
💛「………っ、」
あ、反応した。
小さな動きだったけど、肩が少しだけピクリと動いた。
腕を掴んでいた手は、さっきよりも食込み手が震えているようにも見える。
…やっぱり、仲直りしてないんだ、
🤍「まだ喧嘩してる感じ?、俺昨日いなかったから分からないけど…?」
あんまり深入りしない方が良いのはわかってる。
仁ちゃんのこの感じは、何かを思って考え込もうとしている時のもの。
一人で解決しようとしてる時の顔や行動だから。
だからこそ、
……そんなの見過ごせない。
未だ口を開いてくれない彼に相当深刻なんだろう、って思う。
わからない。正直言えば。
俺がその場にいたらもっと動けたのにな、とか
こんなに悲しまずに済んだのかな、とか
また自分の性を恨んでばかりだ。
🤍「話しづらい…? 」
外からくる生暖かい風がカーテンを揺らす。
時計の針だけが刻一刻と過ぎ去っていく時間を教えてくれる。
💛「…………っ、。」
仁ちゃんの震えた手をそっと握る。
小刻みに震え続けて、自分の手にも振動が伝わるほど。
でも、きっと、仁ちゃんもこうやって俺のことを待っててくれてるんでしょ?、
思い出されるのは保健室での出来事。
🤍「”絶対に周りを頼る”でしょ?、」
💛「………ぁ、」
あぁ、やっと目が合った。
🤍「もう忘れたの?、仁ちゃんってば、忘れぼさんなんだから。 」
にひ、っと悪戯っぽく笑って見せれば、仁ちゃんのずっと張り詰めていたものが一つ一つと解けていく。
💛「…………お前には…敵わない、わ」
降参と言うように呆れと悲しみが混ざった複雑な表情で無理やり笑ってる。
苦しい気持ちを塞ぎきって、限界を迎えそうな顔。
💛「ほんとに、……おれ、何がしたいんだろうね、」
そう言って吐き出される言葉は弱々しく何処かへ消えていきそうだった。
俺が休んだ昨日、
太智くんがせっかく勇斗先輩を呼んだのに突き放したこと。
嫌いだともう関わらない方が良いと廊下で大きな声を上げたこと。
そして今どうしたらいいのか分からないこと。
……何がしたいのかも。
🤍「じんちゃっ、」
💛「……っ、馬鹿だよな、俺。自分の感情に振り回されて何も関係ない塩﨑に当たってさ。
挙句の果てには大声で酷いこと言って。」
ほんとなにしてるんだろう、って疲れきった顔をして引き攣った笑顔を見せる。
💛「……もう何もかもわかんないんだよ。何で勇斗にキレてるのかも、胸の辺りがチクって痛むのも、」
握っていた手がより一層震え出す。
もうお手上げだと言わんばかりに大きなため息をついた。
心做しかそのため息ですら、吐きづらそうにしている。
💛「……苦しいよ、何をしても逆効果でさ。うまく、いかなくて、。
本当はこんなことしたくない。こんなこと望んでないのに、」
__もう、……いや、だ
吐き出される弱音はあまりにも痛々しく突き刺さってくる。
どうにかしてあげたい。
力になりたい。
そう思うのに、俺ですらどうしていいのか分からない。
今目の前にいる大切な人は苦しんでるのに、
何一つとして俺は君の痛みを和らげることが出来ない。
💛「あんな冗談簡単に受け流せるはずなのに、冗談だってことぐらい俺が一番わかってることなのに、…なんで、どうして、 」
🤍「……ぁっ、、」
💛「こんなにもぐちゃぐちゃしてもやもやするんだろう、って」
カーテンが風でふんわり揺れて、小鳥が鳴いて。
ゆったりと時間は流れてるはずなのに俺たちの間の時間はまるで止まってるみたいだった。
もうすぐで部活生の朝練が終わる。
強制的にこの大切な時間も終わってしまう。
こんな胸が張り裂けそうな気持ちを残して。
🤍「…………っ、」
残酷だ、時というものは。
だからこそ抗って抵抗して前に進まなくてはいけない。
……それを応援して支えられるのは俺しかいないから、
仁ちゃんの綺麗な想いのためにも。
綺麗なきらきらした笑顔に戻ってもらうためにも。
🤍「……仁ちゃん。」
大丈夫、大丈夫だよ。
🤍「……まずは俺にきちんと自分の気持ちを伝えてくれてありがとう。それに頼ってくれて。」
そっと、ふんわりとした髪を撫でる。
頭を撫でればシャンプーか制服の匂いなのか、ほんのり柑橘系の匂いがした。
🤍「うれしい、そんな風に弱音を吐けるまで信用して慕ってくれて。」
……俺にとって何よりも”信頼、信用”は重要なものだと思う。
築くのには相当時間を費やすのに壊れるのは一瞬だなんて、
🤍「……昔の仁ちゃんなら考えられないよ。」
肩がぴくっと反応する。
今は目が合わないけど、
よかった、聞いてくれてるんだ、
🤍「…俺はさ、」
もうこのほんの少しの時間だけでも、
少しでも君の考えや思考にちょっとした余裕が出来るのなら、
心が軽くなるのなら、
🤍「仁ちゃんには素直でいて欲しいなって思う。だから、」
ありのままの、今思っていることを、
🤍「今感じてることも悩んでいる気持ちも大事にして欲しい。自分のことを否定しないで欲しい。」
💛「………っ、、」
🤍「その気持ちは間違いではないから。だからこそ、全部違ったなんて思わないでよ。自分自身を守れるのは俺でも太智くんでもなくて、
仁ちゃん、ただ一人なんだから。」
ぽたぽたと机の上に雫が落ちていく。
それと同時に鼻をすする音もして。
🤍「もう、泣き虫だなぁ。今週何回泣けば気が済むのよ、笑」
💛「ない”てな”いっ、!!!」
🤍「無理あるよ、笑笑」
そういう感情豊かなところだって君の良いところじゃん?、
🤍「もう1人で抱え込まないでね。ずっと隣にいるから。」
ぎゅっ、とそれはまた強く抱きしめる。
上半身でしか抱きしめられないけど、温かさが伝わってくる。
💛「……っ、おれっ、はやとに謝りたいっ、。ごめんなさいって、酷いこと言ってごめんって謝りたいっ、 」
🤍「うん、そうだね。ちゃんと自分の気持ちを伝えようか、」
そういう不器用なところも本当はどうすればいいのか気づいてるのに、
なかなか素直になれない君。
ほんと、俺がいないと仁ちゃんは抱え込んで一人で病んでくんだからさぁ、
💛「ありがと、じゅうたろ、」
🤍「はいはい、今度何か奢ってね。」
はははっ、ってやっと口から笑いときらきらした笑顔が見れた。
“2人”揃って世話がやけるなぁ、笑
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コメント
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うわあ、この第8話、めっちゃ良かったです…!仁ちゃんが心を開いて、じゅうたろに弱音を吐けるようになったところが本当に胸に刺さりました。「絶対に周りを頼る」って約束を思い出させるところ、じゅうたろの優しさが滲んでて泣けます。最後に仁ちゃんが「謝りたい」って素直になれたのも、じゅうたろがずっと側にいてくれたからですよね。二人の信頼関係がじんわり伝わってくる、温かい回でした。