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BL ✕
R ✕
タヒネタ(?)
(一部)人外 注意
ざわざわと響く、草木の揺れる音。
手に残る温もり。
3人分の足音と、
追いかけてくる荒い息遣い。
涙がこぼれそうになって、必死にこらえた。
早く、早く、もっと、早く。
足がもつれて転びそうになる。
痛い、苦しい。
……
ごめんね。
rd「ふぁ………。」
大きく伸びをして、窓の外を見つめる。
ガタンゴトンという、電車の微かな揺れが心地よい。
眠くなる。
胸の前で組んだ腕をおろし、荷物を持って席を立った。
今日は、何年ぶりかの里帰りに来ている。
俺の実家はド田舎にあるから、都心へ働きに出た俺が帰ってくることは滅多にない。
今回は、夏の長期休暇を利用して帰ってきたのだ。
特にすることもないだろうし、両親の顔を見て3日ほど滞在したら帰るつもりだ。
電車をおり、しばらく何も無いあぜ道を歩いていく。
両端の田んぼから、虫や蛙の鳴き声が聞こえてくる。
……懐かしいなぁ。
小さい頃はよく、ここを友達と走り回っていた。
とくに仲の良かった”あいつら”とは、毎日のように一緒に遊んでいたっけ。
ぼんやり歩き続けていると、いつの間にか懐かしい実家が見えてきていた。
少し小走りになって、家に駆け寄る。
玄関先にいた、懐かしい人影がこちらを振り返った。
母「あら……、」
rd「母さん、変わんないね。」
母「……おかえりなさい。」
母さんは、昔と何ら変わりのない笑顔で俺を迎え入れてくれた。
家に入ると父さんもいて、俺たちはしばらく積もる話に花を咲かせた。
辺りが暗くなって来た頃。
ふと、俺はあることを思い出した。
rd「……あのさぁ、ぺいんとって、帰ってきてるのかな。」
その途端、一瞬茶の間の空気が凍りついた気がした。
ぺいんと、というのは、俺の小さい頃からの友達。
ものすごく仲が良くて、周りからは”バカ三兄弟”と呼ばれていた。
キッチンで夕食を作っていた母さんが、こちらを振り返りながらわざとらしい笑みを浮かべる。
母「さぁ…、私は知らないけど。」
rd「ぺいんとのお母さんからなんか聞いてたりしないの?」
母「何も……。」
rd「ふぅん…。」
なんだか歯切れの悪い返事だったが、親のことをなんの証拠もなしに疑うのは失礼だと思い、いっそのこと会いに行こうか、と席を立った。
母「…どこ行くの?」
rd「ぺいんとの家。あいつも長期休暇取って会いに来てると思うし。」
母「え、それ、は……」
rd「…?何?」
怪訝に思って眉をひそめると、母さんはすぐにわざとらしく笑みを作って手を振った。
母「いいえ、なんでもないわ。行ってらっしゃい。」
父さんはついさっき買い物へ行って、まだ戻っていない。
ぺいんとに会えるかもしれないとなると少し心が踊ったが、すぐに顔が引きつった。
ぺいんとのことを思い出して、”アイツ”のことを思い出さない訳がない。
つい顔が強ばってしまい、無理にほぐそうと頑張る。
そんなこんなで自分と格闘していると、あっという間にぺいんとの実家についた。
rd「すみません、誰かいますか?」
チャイムを鳴らしながら、家に向かって叫ぶ。
すると、扉がカラカラと音を立てて開いた。
p母「はい、どちら様……って、え、?!」
出てきたのはぺいんとのお母さんで、俺を見るなり嬉しそうに口元を両手で抑えた。
p母「らっだぁくん?!」
rd「はい、お久しぶりです。」
p母「あらー、久しぶり!!らっだぁくんも帰ってきてたのね?!」
rd「…というと?」
p母「ぺいんとも帰ってきてるのよ!あなたに会いたがってたから来てくれて嬉しいわ。今呼んでくるわね!」
rd「あ。ありがとうございます!」
ぺこりと頭を下げると、ぺいんとのお母さんは「待っててね。」と言って1度その場を後にした。
そして数秒後には、どたどたと慌ただしい足音が近づいてきて、再び玄関の扉が開いた。
pn「…らっだぁ!!!あ、わ、…マジで、!!」
ぺいんとは、喜びと悲しみが混じったような顔をしていた。
俺の名前を呼んだきり、言葉が出てこないのかあわあわしている。
rd「久しぶりw元気だった? 」
pn「おう!病気ひとつしてない!らっだぁは?」
rd「俺も元気だったよ。」
pn「そっか、良かった!」
にこりと優しく笑ってから、ぺいんとはサンダルを履いて出てきた。
pn「ここじゃなんだし…散歩でもしよーぜ。」
rd「いいじゃん。…あっちまで歩くか。」
そう言って、ある方向を指さす。
なんとなく行き先を口にするのが はばかられて言葉を濁したが、ぺいんとは俺の気持ちを理解してくれたのか、何も言わずにうなづいてくれた。
pn「仕事はどーよ?」
rd「ん、収入はぼちぼちって感じかな。まぁめっちゃ楽しいよ。」
pn「そーか、良かったな。俺も楽しくやってるよ。久しぶりに帰ってきたら、全然変わってなくて笑ったわw」
rd「それなー。なんも変わってねぇよなw」
2人で他愛もない話に花を咲かせながらゆっくり歩く。
真夏の蒸し暑さに夜の涼風が心地いい。
両脇の田んぼから聞こえてくる生き物たちの鳴き声が、懐かしさを際立たせて、会話がはずむ。
……いつの間にか、そこにたどり着いていた。
pn「…わ、もうこんなに歩いたのか……。」
rd「……ん。」
2人で、何も言わずに目をつぶる。
黙祷…ってことでいいか。
……ざわざわと響く、草木の揺れる音。
どくん、と心臓が強く脈打って、思わず目を開けた。
pn「…大丈夫か?」
心配そうに声をかけてくれたぺいんとの方をちらりと見ると、こいつも顔が真っ青だった。
rd「ん…帰ろ。」
2人で同時に踵を返して歩き出す。
俺たちの背後では、高く大きな山が、静かに佇んでいた。
rd「お前さ、帰ってきてたんなら連絡くらいしろよ。」
ぺいんとの家に無事にたどり着き、俺は手を振りながら言った。
pn「いや、連絡しようと思ったら らっだぁのお母さんに会ったから、”あ、伝えてくれるかな”って思って。…え、なんも聞いてないの?」
rd「俺の母さん、何も知らない、って言ってたけど……。」
pn「あれぇ、おかしいなぁ……。人違いだったかなぁ。でも挨拶したし……?」
rd「…まぁ、会えたしいいよ。じゃ、また明日な。」
pn「そうだな!…あ、らっだぁはどれくらい滞在する気なの?」
rd「んー、3日くらいで帰るつもりだったけど。一応2週間休暇取ってはいるよ。ぺいんとは?」
pn「俺もそんくらい。帰ったら一緒遊ぶ?w」
rd「おーいいじゃんw」
ぺいんとは「またな」、と無邪気に手を振り、家に入っていった。
ぺいんとも俺も口には出さなかったが、心の中では多分ずっと気になっていたと思う。
……アイツ、
ぐちつぼのこと。
こんばんわ!あめです!
今回は長編(?)に手を出してみました…。
続くかな…w
色々気になるところがある(というかわからないことしかない)と思うのですが、
これから順番に明かしていきます。
どうか、飽きずに読み続けていってくださるとありがたいです!
そんなに長くならない予定です!
では、読んで下さってありがとうございました!!
これからも何卒、よろしくお願いします。
おつあめー!
コメント
2件
長編‼️やったぁ長編‼️😆🙌 もうほんとに小説が上手いんだから💓🫶 🌵には何があったんだろうな...🤔 楽しみに待ってるぜ👍👍