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 馬鹿げているとは思う。
 しかし現状すべての手がかりを失った私たちは、藁にも──いや、迷い猫にも縋る思いで、森の中を駆けていくクルグの後を追っていた。

 ──まさか。
 ──でも、もしかしたら。
 ひたすら、ずっと、頭の中でくり返している。
 心臓が激しく早鐘を打っているのは、走っていることだけが理由ではない。 

「シルヴィア。無理をするな」
「大丈夫です……っ、休みましたので」
「あの程度では休んだ内に入らんだろう。顔色も悪いままだ」

 たしかに貧血なのは間違いない。
 身体も、鉛のように重い。
 けれどジークフリート殿下が消えてしまったときとは違い、意識ははっきりしている。
 感覚もむしろ研ぎ澄まされている。

「せめて私がクルグを追うのを代わ**********************

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