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「……ん」
シーツの肌触りは自宅のものより固め。
最初は冷たく感じたけれど、もうとっくに暖かくなって肌に馴染み出した。
「なんでなん、今更隠すん?」
久しぶりの行為は、こんな歳でも恥ずかしいらしい。頬に熱を持っているような気がするから、先に部屋を暗くしておいてよかった。
しかし安堵する間もなく、あれよあれよと着衣を乱され脱がされて、ほのりが身じろぐと耳元で吐息混じりの声が拗ねたように囁いた。
「暗くされてよう見えんのやから、隠すんアカンって」
暖かく湿った感触に背筋がぞくりと波打つ。
「だ、だって……ジッと見るから」
ついさっき、出会って一緒にお酒を飲んで、ほんの少し会話をしただけの相手。
隣に座り、いつのまにか指を絡ませ手に触れられたり”綺麗やね”っておだてる言葉にいい気になって。
(何やってんだろ、私)
冷静な自分は確かに存在しているのに。
彼は見下ろして喉を鳴らしながら「そりゃ見るやろ」と、愉快そうに笑う。
こんな状況を何とも思っておらず、そして慣れていそうな気さえするから。
つくづくやらかしちゃったなと、頭の隅っこにいる冷静な自分は思ってた。
(ほんと……今更)
けれど、いざ始まってしまえばなんてことない。こうなることが当たり前みたいにことが進んで、段々と熱くなる身体がもっと深い快感を求めだしていることに気がついてしまう。
ほんとはさみしかったのか、飢えていたのか。
この状況を咎める理性など、どうでもよくなってきてしまう。
「そろそろ諦めてや」
ふとんを掻き抱いて隠していた胸元は、露わになって、せめてもと固く閉じた脚に指先が触れる。
つーっと撫でるような感覚がたまらなく下腹部を熱くした。
「こっちも隠さんとって。せっかく脚、綺麗やのに」