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#独占欲
めんだこ
212
13時ちょっと前、潮が止まったせいか、魚がぴたっと釣れなくなった。
ちょっと早いけれど、それなりに釣ったし、そろそろ移動してもいいだろう。
「魚が釣れにくくなりましたし、片付けて移動しましょう。ホウトン村へ行く途中で、寄った方がいいところはありますか?」
「ドーソンの魚卸売市場に寄って行くのニャ。そろそろ保存用の氷が無くなり始めて、投げ売りが始まっていると思うのニャ。あの村で一週間過ごすニャら、魚はいくらあってもいいのニャ」
魚市場か。なら……
「どうせ寄るなら、アクラの魚市場の方が大きいと思いますけれど」
「あっちは既に買い占めていると思うのニャ。エイダンほどでなくても、収納魔法を使える魔法使いはいるニャ。魔法がニャくても、氷詰めにすればそれなりに持つのニャ。船や荷車で買い出していると思うから、心配無用ニャ」
既に買い占めているか。
確かにミーニャさんが何十匹、いや何十人もいると思えば必要だろう。
俺が想像するホウトン村が、どんどん一般的な世界から離れていく。
実際は多分、俺の出身のキヌル村とそう大差ない、普通の村なのだろう。
そう思うのだけれど……思いたいのだけれど……
という思考は、とりあえず表に出さずに。
「わかりました。魚卸売市場はすぐそこですから、歩いて行きましょう」
ということで魚卸売市場へ寄って、ミーニャさんの指示通り、魚を20万円分、つまり残っていた魚はほぼ全部購入して。
あとは門の外でミーニャさんとジョンを収納して、ホウトン村まで高速移動。
幅が広い川の左側の堤防を走っていく。
川が一段と広くなった先に河川港があり、右側も林を切り拓いたという感じの畑が広がりはじめる。
先に街壁や街門が見えて来た。
街門の200mくらい手前で止まって、収納していたミーニャさんとジョンを出して。
「それじゃ行くのニャ」
ミーニャさんを先頭に歩き始める。
街門は開きっぱなしで、門番はいない。
「無用心な感じがしますけれど、大丈夫なんですか?」
ジョンも俺と同じ事を思ったようで、そんな質問をする。
「問題ないニャ。猫獣人の大人ニャら、村人以外や魔獣、魔物などが近づいたら気配でわかるのニャ。危なそうニャら全員で出て行くだけニャ。それで問題が起こったことは無いニャ」
見えなくても近距離なら気配を感じられるし、その辺に出てくる魔物や魔獣なら村人で倒せるということか。
やっぱり猫獣人って、ミーニャさんみたいなのが多数派なのだろうか。
さて、門には人はいないけれど、先に人が集まっているのが魔力でわかる。
そして門の中は、街というより森とか林に近い雰囲気だ。
高さ10m以上はある高い木々がそこここに生えていて、その木々の間に家や道があるという造り。
木々があるので、家と家の間は概ね30m以上は離れているだろうか。
余計な枝や下草は刈ってあるので、木漏れ日くらいは通るし風通しもいい。
それでも街とか村とかという一般的イメージからは、大分かけ離れた感じだ。
「普人の村とは大分違う雰囲気ですね」
「猫獣人や熊獣人の村はこんな感じニャ。広めの敷地に、家と3本の樹を植えるのニャ。樹があると落ち着くし、登ることも出来るのニャ。犬獣人の村だと樹がなくて全面芝生ニャから、落ち着かないのニャ」
確かに言われてみると、家1軒に樹木3本になっている。
塀がないからわかりにくいけれど。
こういった様式面でも、獣人と普人の違いはある様だ。
まあエルフは森の中に小集団で生活しているのが普通だし、ドワーフは洞窟の中に住む人が多い。
それと同じと考えれば、納得出来るかもしれない。
さて、ミーニャさんは勝手知ったるという感じで、どんどん歩いて行く。
「何処へ行くんですか?」
「まずは受付ニャ。ウーニャ叔母さん、今の村長が、来村者と持ち込みの魚をチェックするニャ。インガンダ・ルマもその時にこの村で出していい分は全部出すのニャ。保存の関係があるから、出した後に一度収納し直すことにニャると思うけれど、とりあえず全部出してしまうのがおすすめニャ。どうせ出した分が全部かは、匂いでわかるのニャ。ただカラマロは大量だし自分用があると思うから、ホウトン村で出せる分だけでいいニャ。アクラの漁港で同じくらい仕入れているだろうから、大丈夫ニャ」
つまり、カラマロ以外は全部出せか。
全部かどうかわかるというのは、マーニャさんで体験済みだ。
それにカラマロ以外は、基本的にこの村用で持ってきたものだ。
強いて言えば、インガンダ・ルマは半身くらい残して自分用として食べようかとも思っていた。
しかしバラモさんによると、インガンダ・ルマは量を少なめに食べない限り、必ず漏れてしまうらしい。
なら漏れてもかまわない、ホウトン村で食べきってしまうのが正しいだろう。
どうしても欲しい場合は、自分でまた漁に出ればいい。
マシューさんの船の設計図は複写済みだ。
だから材料さえあれば、俺専用の船を作ることも可能。
ミスリル部分を特殊木炭魔法加工物質細密管で代用できるかは、あとで試すとして。
前方に開けた感じの場所が見えてきた。
焼き土で舗装された広場と、他の家より大きく平べったい感じの建物が見える。
何人か、魔法使いではないけれど、それなりに強力そうな魔力も感じる。
「集会所ニャ。今回のお祭りの会場ニャ」
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