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何も言えない俺だけど 🖤💚

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何も言えない俺だけど 🖤💚

1 - 何も言えない俺だけど 🖤💚

♥

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2024年08月27日

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「ただいま〜」

呑気な声が玄関から聴こえた。

本当は玄関に行きたいけど、俺は今、火を使っているので動けない。

その代わり、大きな声で応答する。

「おかえり!!!」

すると、小さな笑い声が聴こえた。

なにが面白い。

しばらくして、ドアからひょっこりと顔を出したのは、目黒蓮。

「ただいま、阿部ちゃん。」

まるで、俺がここにいることが奇跡かのような顔で言う。

そんな顔、俺にはできない。

「おかえり、めめ。」

ほっぺを無理矢理引き上げて笑顔らしきものを作る。

きっと、歪な笑顔だろう。

鏡で何度も何度も見た顔は、歪な笑顔だった。

すると、彼は俺に近寄る。

「いい匂い。カレー?」

「うん。あとちょっとでできるよ。」

彼は、俺の作るものならなんでも美味しいと言って食べてくれる。

そんな、本当か分からないものを口にされたって、安心できるはずがない。

俺は、ソファーに行き、テレビをつける。

隣には当然のように座るめめ。

映ったのはニュース。

中継中で、アナウンサーは風と雨が強いところにいた。

どうやら、台風が上陸した地域にいるらしい。

「アナウンサーさんも大変だね。」

「そうだね。」

これだけで、俺らの会話は終わる。

前は、もっと色んなことを話していたはずなのに、できない。

どうしてだろう。

カレーが出来上がる時間になった。

キッチンに行き、皿を出し、盛りつけをする。

めめは箸を出したり、盛りつけ終えた皿を運んだりしてくれている。 

手を合わせ、食べ始める。

「美味しい」

幸せそうな顔をして食べるめめ。

それに比べて、俺はきっと死にそうな顔をしている。

どうしても、できないのだ。

なにもかも、できない。

俺には、何もできない。

彼を、好きになることも、幸せそうな”フリ”をすることも。

いつまでも、過去の人に囚われ続けている。

そんな俺を、めめは許してくれている。

そんな優しい彼に甘えるばかり。

“好き”も”愛してる”も”目黒蓮の恋人”と言えないまま、きっと、死ぬんだろう。

めめと、彼を…ふっかを重ねてしまう。

もう、いないふっか。

綺麗な最期を迎えたふっか。

ふっかがいないのなら、いる意味などないのに。

めめが、俺をここに残らせる。

めめは、分かっているのだろうか。

いや、もうずっと前に気付いているだろう。

ごめん。

いつかは、めめに言いたいな。

“好き”も”愛してる”も”めめの恋人”も言えなくて、ごめんって。

言えたらいいな…

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コメント

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ずっと投稿なくてごめんなさい! 久しぶりの投稿が何これ展開なんですけど、許して下さい🙏 一応、解説載せておきます。

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