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#ご本人様には関係ありません
楪羽*yuzuriha*
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つーぴ
67
#佐久間担
yuka @1ヶ月猫化
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遠くで、サイレンが鳴っていた。
それが近づいて、止まって、
慌ただしい足音と声が交錯する。
「こっちだ!負傷者がいる!」
「意識レベル低下してる、早く運べ!」
騒がしいはずなのに、
そこにいるはずの声だけが聞こえなかった。
「……阿部さん…?」
呼んでも返事はない。
さっきまで、確かにそこにいたのに。
「阿部さんっ……」
さっきまで手を握ってくれていた温もりを必死に手探りで探す。
でも、触れたのは冷たいコンクリートの床だけだった。
「どいてください!」
「ストレッチャー通します!」
その声と同時に無理やり引き離される。
「っ、待って……!」
必死に手を伸ばす。
その手はどこにも届かずに行く先を見失っていた。
「阿部さん……っ!」
名前を呼ぶ声が、空気に溶けていった。
それからのことは、よく覚えていない。
消毒液の匂い。
規則的な電子音。
自分が病院のベッドの上にいることくらい、すぐに分かった。
「………」
静かすぎる。
この空間には、自分一人しかいない。
あの人の声がないだけで、
こんなにも世界は空っぽになるのか。
そのとき。
部屋の外から、誰かの声が聞こえた。
『意識不明の重体で………阿部亮平さん、32歳男性です。…はい……現在も意識は不安定で…………』
思わず、体が反応する。
「……っ、」
それ以上は聞きたくなかった。
怖くて。
聞いたら何かが決定的に終わってしまう気がして。
それでも話し声は聞こえてくる。
『……警察が来ています』
「……え、?」
警察?なんで……?
『暴行致死、および殺人の疑いで―――』
何を言ってるんだ。
誰の話だ。
『……はい。意識が戻り次第、阿部亮平さんに取り調べを行うそうです』
「……っ、」
声が出ない。
息もできない。
あの人が?
優しくて、
俺を助けてくれて、
守ってくれて……
「……違う………」
そんな訳無い。
「違う……っ」
でも、それを証明するものは何もない。
俺は……目が見えないから。
俺はただ……………
「…何も知らない、巻き込まれただけ………」
彼に言われた通りのことしか言えない。
「……っ、なんで……」
ベッドの上で、拳を握る。
ただただ悔しかった。
何もできない自分が。
何も言えない自分が。
少しすると、病室のドアが開いて誰かが入ってきた。
『目を覚まされましたか。』
看護婦さんだった。
その優しくおっとりした口調で、どこかで張り詰めていた心が少し緩んだ気がした。
しばらくすると、今度は男性の医者が来た。
『佐久間さん』
「はい」
『少し、お話があります』
静かな声。
でも、その中に何かが含まれているのがわかった。
『……あなたの目についてです』
心臓が少し強く打つ。
『外傷性白内障ですが、』
『手術で、視力が回復する可能性があります』
「…え……?」
思わず、聞き返す。
『完全に元通りとはいかないかもしれませんが、日常生活に支障がない程度まで回復する見込みがあります』
理解が追いつかない。
「……見える、ように……なる……?」
震える声で呟く。
『はい』
はっきりとした答えだった。
その瞬間、頭に浮かんだのは、
「……阿部さん……」
あの人の顔。
正確には、顔は知らない。
でも、声と、温もりと、存在と。
それが全部、見れるようになるかもしれない。
「……受けます」
気づけば、そう答えていた。
迷いはなかった。
「手術、受けます」
光を、取り戻すために。
あの人を、ちゃんと“見る”ために。
医者は『わかりました』とだけ言って病室から出ていった。
がちゃりとドアが閉まる音。
―――目が、見えるようになる。
その事実は、思っていた以上に大きな意味を持っていた。
静かな病室。
白い世界。
何も見えないはずなのに
なぜか、ひどく眩しく感じた。
コメント
3件
このお話すごく好きです!こんなふうに文章がかけるようになりたいです…!
うわ……第15話、読んだよ……。 サイレンの音から始まって、病院で一人ぼっちの佐久間くんの孤独がすごく伝わってきた。あの人の温もりだけを必死に探すシーン、胸がぎゅっとなった。 最後の「手術で見えるようになる」って希望の光が差し込んできたのに、同時に阿部さんが逮捕されるかもしれないって現実……。この対比が重くて、でもちゃんと一つの表現として成立してるのがすごい。 ふみさんの描写、丁寧で心に響きました。続き、気になる……🤍🌙