私は、最近2年生の朝比奈先輩とお弁当を食べる
事が増えた。
最初、私は朝比奈先輩の事を「優しいけど、ちょっぴり怖い先輩」みたいな風に思っていた。
何故なら、先輩の笑顔は「本当の笑顔」じゃないからだ。
でも、最近は朝比奈先輩の「本当の笑顔」を見れる事が多い。
朝比奈先輩とお弁当を食べれるだけでも嬉しくて
「わんだほーいっ!」な気分なのに、先輩の「本当の笑顔」が見れてもっと「わんだほーいっ!」に
なっちゃう。
そして、今日もお弁当を食べる約束をしている。
「鳳さん、居る?」
「あっ! 朝比奈先輩! こんにちは!」
「こんにちは。 鳳さん、今日は中庭と屋上
どっちでお弁当食べよっか。」
「うーん。 今日は、屋上で食べたいです!」
「うん,良いよ。じゃあ、行こっか。」
「はい!」
「いただきまーす!」
「いただきます。」
「うーん! 美味しい〜!」
「鳳さんは、本当に美味しそうに食べるね。」
「だって、とっても美味しいんですもん。
あっ、朝比奈先輩、どれか食べます?」
「良いの?」
「はい!」
「そしたら、この卵焼きを頂こうかな。」
「どうですか?」
「(鳳さんになら、話しても良いかな。)
鳳さん、驚かないで聞いてくれる?」
「何ですか?」
「私ね、何かを食べたり、飲んだりしても
味を感じないの。味覚が無いって、言った方が
早いかな。」
「えっ、そうなんですか?
何かあったんですか?」
「鳳さん、今から私が話すこと誰にも内緒に
してくれる?」
「はい、分かりました。内緒にします。」
「ありがとう。 じゃあ、話すね。
私ね、感情が無いの。 正確には、無くなったんだ
けどね。
私ね、1人でいる時以外は、いつも「笑顔」の仮面
を付けてるの。
誰にも感情がない事を知られたくないから。
だから、何も分からないの。いつも、探してる。
感情を取り戻すきっかけを。
ごめんね。 いきなり、こんな話をして。」
「なんで、私には話してくれたんですか?」
「なんでかな。 鳳さんには、話しても良いって
思えたんだよね。」
「そうなんですね。そう思ってもらえて嬉しいです。」
「鳳さん、ありがとう。」
その時の朝比奈先輩の笑顔は、すごく素敵だった。
やっぱり、私、朝比奈先輩の「本当の笑顔」を
見ると、
「なんだかドキドキする。」
コメント
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この物語凄く素敵です!! 文章も読みやすくて...私もこんな素晴らしくて素敵な物語を書きたいです!!今度よかったら物語の書き方とか教えてください‼️(嫌だったら全然大丈夫です💦