余命1年
そう、医者に言われた
私は、いたって普通の売れない小説家だ
どれだけ物語を描いても、誰も見てくれない
いや、それはもう、どうだっていい
今は、最近でた症状が問題だ
最近でた症状とは、手の震えだ
紙に物語の例文を書く時、文字が歪んで読めないときがある
たまに、ペンも落としてしまったり、ペンのインクが零れたりしたりするのは日常茶飯事だ
そんなことが毎日続くと、お前は徐々に死に近ずいているんだぞとでも言われているみたいで嫌になる
例え例文を書けたとしてもパソコンに完成文を書く時、手が震えて全く打てない
もう、小説なんて書きたくない
そんなことを一日が過ぎる度に思う
明日すら怖くなる
明日もまともに小説を書けない日になる
でも、諦めたらダメだ
私は死ぬ前に私の物語を完成させないといけない
私はそれまで死ねない
死ぬ訳にはいかない
やっと物語の前半ができた
でも、完成までは程遠い
今日も息をしているだけで辛くなる
明日死んでもおかしくない
もしも神様がいるなら、助けて欲しい
……
助けてくれ
もう、生きていたくない
物語をもっと描いていたい
最近はずっと手が震えている
息もしずらい
あと少しで死ぬんだといやでも実感してしまう
私はあと、2ヶ月ほどで死んでしまう
その前に物語を完成させないといけない
こんな苦しい思いをするよりは死んだ方がマシかもしれない
でも、私はどうしても物語を完成させないといけない
早く完成させて、紗奈さんにも見せないといけない
私は決して死んではいけない
私がかいている物語とは
私自身の
私が死ぬまでの物語だ
小説がかけなくなったら、私はただの社会のゴミだ
人生のゴミ
あと1ヶ月で死んでしまう
私は死ぬ前にどうしてもみんなに伝えたいことがある
ほとんど息もできない
目眩もする
でも、最後にこれだけは伝えたい
その言葉で柊さんの物語は終わっていた
柊さんはつい先日亡くなった小説家だ
これは、柊さんが死ぬまでに完成させようとしていた
余命1年の小説家という小説だ
これは、柊さんが死ぬまでの話を描いている物語だ
物語を描き始める前に私に提案してきた
<余命1年の小説家・・例文>と描かれた文を読むと、最後に行くにつれ、文字の形が崩れていて、どれだけ辛かったのか分かった
結果的に柊さんは物語を完成させれなかった
最後に伝えたいという言葉で終わっていて、柊さんが一体、何を伝えたかったのかは謎だ
柊さんのことだ
結末は必ず、物語を描き始める前に例文とは違う紙に書く
その紙を探してみよう
数分後
見つけた
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私がみんなに伝えたいこと
好きなことは必ず生きている内に済ませておけ
嫌なことは嫌だとしても我慢をしてでもしろ
人生に損なんてつくって死ぬな
人生は必死に楽しめ
人生が辛いとしても自殺なんてバカなことするな
誰かのためになることをしろ
自分の好きなことをやり遂げるまで決して死ぬな
幸せと感じるまで生きてみろ
死にたいと思うのなら好きなことを精一杯やれ
愛している人が居るのならその人に愛してると必ず伝えろ
自分が大切だと思う人は必ず見捨てるな
愛想笑いなんてするな
心の奥底から笑え
悲しい時なら悲しいと言え
泣きたい時は気が済むまで泣いてろ
死にたいなんて言うな
死にたいなんて考えるな
死にたいを連呼するな
生きたいって言え
生きたいって考えろ
生きたいを連呼しろ
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と柊さんらしく、独特な文字の形で書かれていた
コメント
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今回は、小説家を題材にかいてみました! ……小説家じゃなくて作家か(え?)……また修正したバージョン出します……(血涙