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―side真希―
「わが藤本産婦人科レディースクリニックは完全母子同室型で、赤ちゃんとお母さんとの一生の思い出になる入院生活を送っていただくと言うのがコンセプトなんですよ」
上下ピンク色の制服を着た病棟看護師があたしを案内しながら言う、身長が150センチあるか無いかの小柄な女性で、おかっぱ頭、そして眉毛が1本に繋がりそうなほど濃い
「予定日はいつですか?」
事務員があたしに尋ねる
「12月の初めです」
「あら!では1階に行って病棟が開いているか確認しないと!ずいぶん急ですね」
あたしは両手でお腹をさする
「姉が・・・自宅出産だったのでとてもよかったと強く進められていて・・・ずっと迷ってたんですけど・・・一度病院も見学してから決めようかなと思いまして」
「母子ともに健康でしたら自宅出産はとても良い経験になりますよ」
看護師はパタパタと白い医療用スリッパで廊下を進んで行く
「初産ですか?」
「ええ・・・そうです」
途中で詰め所の横を通る時にさらに二人の看護師をチェックする、上下ピンク色の看護師の制服を着て一人は黒いシュシュで、髪をポニーテールに括り、もう一人は胸ポケットに沢山のボールペンと腕時計をぶら下げている。
あたしはそれを素早く記憶に刻む、二人供赤い紐のIDカードを首からぶら下げている
「もし他の患者さんとお産が重なってうちで受け入れが出来ない時は、他の地域の産婦人科をご紹介できます。支払いは自己負担ですか?」
「ハイ」
彼女は次に大きなドアの横にあるステップを踏んだ、すると分娩室のドアが自動に開いた
「分娩室が二つに陣痛待機部屋が4つになっています。全部をお見せすることはできません、今使っている所がありますので、ウェブサイトで3Dバーチャルツアーが出来ますので、そちらもご参考に下さい」
廊下は白くてとても明るい、壁はパステルクリーム色で落ち着いている。点滴を引きずった大きなおなかを抱えた妊婦さんとすれ違った
「ここが新生児室です・・・基本母子同伴ですが、夜中とか赤ちゃんのお世話に疲れたら24時間スタッフが待機していますので、いつでも預けに来てくださいね」
あたしは全面ガラス窓に釘付けになった、こっちを向いて透明なプラスチックの箱に入れられて、生まれたての赤ちゃんがこちらから良く見えるように一列に並んでいる